台湾のVIA Technologiesは中国で現地時間2008年5月29日,低消費電力タイプのx86系64ビット・プロセサ製品系列「VIA Nano」(開発コード名は「Isaiah」)を発表した。既にOEM/マザーボード・メーカー向け出荷を開始しており,搭載製品は2008年第3四半期に登場すると見込む(関連記事:VIA、Atom対抗の新型CPU「Nano」を発表VIA,新64ビットx86アーキテクチャ「Isaiah」プロセサは2008年前半リリース)。

 消費電力は多いが動作周波数の高い「L-series」と,超低電圧版の「U-series」という2系統を用意する。各製品の動作周波数と最大消費電力は「L2100」が1.8GHz/25W,「L2200」が1.6GHz/17W,「U2400」が1.3GHz以上/8W,「U2500」が1.2GHz/6.8W,「U2300」が1.0GHz/5W。アイドル時の消費電力は,L2100が500mWで,それ以外は100mW。システム・バス(FSB:Front Side Bus)のクロック周波数はいずれも800MHz。

 新アーキテクチャ「VIA Isaiah Architecture」を採用し,既存の「VIA C7」製品系列プロセサと同等の消費電力であるにもかかわらず,処理速度が4倍速いという。21mm角のnanoBGA2パッケージを採用し,VIA C7とのピン互換性を備えるため,既存システムの容易なアップグレードが可能。

 記憶容量64Kバイトのレベル1(L1)キャッシュ・メモリー2個と1Mバイトの専用L2キャッシュ・メモリー,浮動小数点ユニット(FPU)を内蔵し,投機的実行タイプのOut-of-Order型64ビット・スーパースケーラ・マイクロアーキテクチャやマルチメディア命令セットStreaming SIMD Extensions(SSE)に対応することで,高速化を図った。暗号処理用アクセラレータ「VIA PadLock Security Engine」を搭載し,乱数生成,AES暗号,SHA-1/SHA-256ハッシュ演算などをハードウエアで処理できる。

 製造プロセス・ルール65nmで,富士通が製造している。

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