米Microsoftは2008年5月28日(米国時間),同社が10月26日から米国ロサンゼルスで開催する開発者会議「PDC(Professional Developers Conference) 2008」の概要を公開した。PDCは従来,Windows新バージョンの概要を明らかにする会議だったが,今回のセッション概要では「Cloud」という単語が「Windows 7」よりも目立つ場所に掲げられている。

 同社ではPDC2008のWebページを開設し,セッションの概要なども公開している。PDC2008は,10月26日から30日まで開催される。翌週の11月4日からは同じロサンゼルスで,ハードウエア開発者会議である「WinHEC 2008」も行われる。

 PDCは数年に1度だけ開催される,Microsoftにとって最も重要な開発会議である。最近では,2003年秋の「PDC 2003」で「Longhorn(製品名はWindows Vista,Windows Server 2008)」の概要が発表され,2005年秋の「PDC 2005」でWindows Server 2008の主な機能が公開された。PDCが開催されるのは,2005年以来3年ぶりのこととなる。

 もっとも,MicrosoftがPDC 2008の最大のテーマとして設定しているのは,開発中の「Windows 7(開発コード名)」ではなく,「クラウド・コンピューティング」であるようだ。セッション概要のページには,「A Day in the Life of a Cloud Service Developer」「Architecting Services for the Cloud」「Developing and Deploying Your First Cloud Service」「Scalable, Available Storage in the Cloud」「Under the Hood: Architecture of Storage in the Cloud」といった講演タイトルが並び,Windows 7に関する講演よりも幅をきかせている。Windows 7に関する話題はセッション概要ページの末尾に載せられているだけである。

 今回のPDCは,同社のBill Gates会長が引退してから初めて開催されるPDCでもある。基調講演のスピーカーは,Gates氏の後継者として同社の開発を統括しているChief Software ArchitectのRay Ozzie氏で,Ozzie氏は最近クラウド・コンピューティングに関する言及が多い。Windows 7に関しては,現時点で明らかにできる情報が少ないと言った事情はあるだろうが,PDC 2008は「Gates後」のMicrosoftがクラウド・コンピューティングに注力しようとしている様を象徴するイベントになる可能性が高い。