米Gartnerはオーストラリアで現地時間2008年5月28日,IT業界の展望について発表した。メルボルンで開催されたイベント「Gartner Emerging Trends and Technologies Roadshow」で,同社フェローのDavid Cearley氏は,今後5年間のIT業界を特徴付けるであろうディスラプティブ技術(破壊的な技術)として,「ソーシャル・ネットワークとソーシャル・ソフトウエア」,「マルチコアとハイブリッド・プロセサ」,「Webマッシュアップ」など10件を挙げた。

 同社はディスラプティブ技術のことを,ビジネス・モデルやプロセス,収益源,業界内の力学,消費者行動を含む「確立された方法」に重大な変化をもたらす技術と定義している。

 同氏によると,ビジネス向けアプリケーションは,FacebookやMySpaceに代表される一般ユーザー向けソーシャル・ソフトウエアの機能を取り入れて,社員間のコラボレーションや顧客コミュニティの構築に役立てるという。また,企業はマルチコア時代に求められる水準のサービスを提供するために,マルチコア・プロセサの性能を引き出せないソフトウエアを特定して対策を講じなければならない。

 Gartnerは,2010年までに80%の企業向けアプリケーションがWebマッシュアップ・モデルを使って開発されるようになるとみている。マッシュアップは簡単かつ短時間に作ることができるので,期間限定や使い捨てのアプリケーションという新たなジャンルが生まれる可能性もある。

 「これからのCIO(最高情報責任者)は,常識の枠にとらわれずに,数年先に普及する技術を予測できる能力を身につけなければならない。企業と新技術の橋渡し役になり,企業が抱えている問題の解決に新技術を役立てられるかどうかを判断する必要がある」(Cearley氏)。

 Cearley氏が挙げた他の7件のディスラプティブ技術は次の通り。「ビジュアライゼーションとファブリック・コンピューティング」「クラウド・コンピューティングとクラウド/Webプラットフォーム」「ユーザー・インタフェース」「ユビキタス・コンピューティング」「文脈型コンピューティング」「拡張現実感」「セマンティクス」。

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