米CAのチーフアーキテクトを務めるドン・ファーガソン氏
米CAのチーフアーキテクトを務めるドン・ファーガソン氏
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 米IBMでWebアプリケーション・サーバーのWebSphereを開発し、その後米マイクロソフトで技術戦略を担当したドン・ファーガソン氏(写真)。現在は、米CAのチーフアーキテクトを務めている。分散コンピューティングの最先端を歩んできた同氏に、アプリケーション・サーバーの将来像を聞いた。

――分散コンピューティングの現状をどう見るか。例えば、WebSphereを開発した10年前と比較すると、何が変わっているか。

 システムを構築するための前提条件が大きく異なっている。今はディスクもメモリーも以前とは考えられない低価格で入手できる。CPUの処理速度も高まった。ネットワークやモバイル端末が進歩し、アプリケーションへのアクセスの仕方も多様化した。そうした環境を最大限活用できるアーキテクチャが求められている。

 例えば、WebSphereを今開発しなおすのであれば、もっと“軽く”作る。簡単にアプリケーションを追加したり、利用したりできるようにするイメージだ。

 今までのアプリケーション・サーバーは、その中ですべてを完結するように設計されていた。まずメインルーチンがあり、同一アプリケーション・サーバー上にあるサブルーチンを呼び出して動作する。同じサーバー上にはデータベースのアクセス機能などもある。

 私が今イメージしているのは、もっとシンプルでオープンなアーキテクチャだ。アプリケーション・サーバー上には、メインルーチンとトランザクション処理やセキュリティ管理など限られた機能しか動作させない。サブルーチンに当たる機能やデータベース・アクセス機能などはメインルーチンが動作するサーバーの外にあるアプリケーションを活用する。コーラブル(呼び出し可能)なモジュールを寄せ集めたアーキテクチャだ。呼び出されるモジュールはPHPやRubyといった軽量言語で開発するのが中心になるだろう。

――そういうアーキテクチャは企業でも必要になるのか。

 将来はそうなるだろう。そのためには、今からコーラブルなモジュールを用意しておくことだ。他アプリケーションを呼び出す際の標準技術であるSCA(Service Component Architecture、関連記事)などに準拠しておくことが望ましい。

――IBM、マイクロソフトと移り、一貫して分散コンピューティングの最先端を歩いてきた。CAでの役割は。

 チーフアーキテクトとして、全社の製品戦略を立てている。CAが過去に買収した会社の製品を含め、複数の製品を組み合わせてベストな製品体系を作ろうとしている。感覚としては、IBM在籍時に銀行など大手顧客にシステム・アーキテクチャを提案していたときの作業に近い。