写真●米AMD Computing Solution担当上級副社長のランディ・アレン氏
写真●米AMD Computing Solution担当上級副社長のランディ・アレン氏
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 「地球環境保護が世界的に大きなテーマとなってきた今,企業におけるサーバーの購買決定要因が大きく変わってきた。処理能力とともに,省電力化をどう実現しているかが大きな要因になりつつある」──2008年5月29日,東京都内で開催された「グリーンIT国際シンポジウム」の講演で,米AMD Computing Solution担当上級副社長のランディ・アレン氏はこのように語った。

 同氏によれば,データセンターのグリーン化の実現に向け,AMDでは4つの基準について取り組みを進めているという。4つの基準とは,パフォーマンス,エネルギー効率,仮想化技術,負荷に対するスケーラビリティである。

 1つめのパフォーマンスは,マルチコアによって実現する。最新のクアッドコアのOpteronプロセッサでは,従来のデュアルコアのOpteronに比べ,新たなコア・アーキテクチャや仮想化技術を取り入れたことで,ベンチマーク評価で67%もの処理性能向上を達成しているという。

 2つめのエネルギー効率については,さらに大きな飛躍がある。2003年にリリースしたシングルコアのプロセッサから,デュアルコア,クアッドコアへと処理性能を大きく向上させる一方で,各プロセッサの消費電力自体は変わっていない。この状況は2009年にリリースする6コアのプロセッサ(開発コードネーム:Shanghai)でも同様で,今後もエネルギー効率を上げていくという。

 その背景には180nmから65nm,45nmへと進化する製造プロセスとともに,省エネルギー化のための4つの革新的技術がある。各コアごとに周波数をコントロールできる技術,ロジックごとに消費電力を下げたりオフにすることを可能にしたクールコアテクノロジー,デュアル・ダイナミック・パワー・マネジメントというCPUとメモリーの電力を別々にコントロールする技術,そして低消費電力のDDRメモリーである。これらの技術によって,現在は2003年当時の製品に比べて6倍近くもエネルギー効率が改善しているという。

 3つ目の仮想化技術とは,AMD-VというRVI(Rapid Virtualization Indexing)技術である。これはメモリーの負担を軽減する技術で,VMwareなどとの組み合わせで,データベース,Webサーバー,コンパイルなどの処理で大きな効果を発揮する。またI/Oの仮想化技術も進んでおり,2年前に発表したAMD I/O Vitualizationテクノロジ仕様(IOMMU)では,x86ベースの環境での仮想化を実現している。

 4つ目のスケーラビリティに関しては,CPUの数,メモリー容量,I/Oを大規模化していく従来のアプローチから,サーバーに搭載するプロセッサのコア数を増やしてスケールアップする方向へと変化している。この方法では,コアを増やしてもソケットを増やす必要がなく,結果として,電力消費を増やさずに処理能力の向上が図れるという。

 「ユーザーは長期的視点から拡張性とエネルギー効率に優れたアーキテクチャを選定するようになっている。選ばれる製品になるため,AMDでは今後もこれら4つの基準で性能向上を図っていく」。アレン氏は,最後にこう語り,講演を締めくくった。