米連邦取引委員会(FTC)は米国時間2008年5月28日,消費者の通話記録を不正な手段で取得し許可なく第三者に販売していた組織に対し,裁判所がこれらの行為を禁止し,違法行為によって得たとみられる60万ドルを超える収入の没収を命じたと発表した。

 FTCは,身元を偽って不正に通話記録を入手する「プリテキスティング」に関連して一連の訴訟を起こしている。今回の訴訟は,2006年に米Hewlett-Packard(HP)が情報漏えいを巡る調査でプリテキスティングを用いたとして問題にとなっていたもの(関連記事:元HP会長ら5人,プリテキスティング問題で告訴)。

 FTCは2007年2月,顧客の通話記録の販売した米Action Research Group(ARG)を経営するJoseph DePante氏およびMatthew DePantes氏に対する活動禁止命令を連邦地裁に求めていた。FTCは,身元を偽って電話会社から記録を入手していた米Eye in the Sky Investigations(ESI),Cassandra Selvage氏,Bryan Wagner氏も提訴した。FTCは,これらの行為が連邦法に違反するものであり消費者の安全を脅かすと主張。違法行為によって得た収入の没収を求めていた。

 FTCの訴状によれば,ARGとDePante氏は少なくとも2005年から消費者の許可無く通話情報を第三者に販売していた。これらの情報は,ESI,Selvage氏,Wagner氏が口座の所有者や従業員を偽ったり,盗まれた文書や偽の文書を使って電話会社から取得していたという。

 ARGとDePante氏はFTCとの和解に応じており,ESI,Selvage氏,Wagner氏は欠席判決を受けた。被告側は,顧客の通話記録または個人記録の取得,マーケティング,販売の禁止が命じられた。プリテキスティングまたはこのほかの詐欺行為による顧客情報の取得も禁じられ,違法行為によって得たとみられる収入の没収が命じられた。

 FTCは206年以降,プリテキスティングによって第三者の通話記録を取得した16の個人および組織を連邦法違反で提訴している。これら被告はすべて,プリテキスティングによる通話記録の入手が禁止され,違法行為によって得た収入の没収が命じられているという。

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