米Microsoftは2008年5月27日(米国時間),「Windows Vista」の後継OS「Windows 7」(開発コード名)のデモンストレーションを初めて行い,タッチスクリーン搭載パソコンを指先で操作する同OSの新機能を披露した(関連記事:Microsoft,2010年リリース予定の次期OS「Windows 7」はVistaとの互換性を維持)。同じ機能の簡易版はWindows Vistaに搭載済みだが,Windows 7はOSのあらゆる操作を複数の指で処理するマルチタッチ機能に対応させ,機能を高める。

 Microsoftによると,タッチスクリーンはパソコン用ユーザー・インタフェース(UI)を進化させる流れの一部に過ぎないという。「今日(パソコンでは)ほとんどの操作をキーボードとマウスで行っている。今後は,音声/視覚/手書き操作と既存UIの果たす役割が極めて大きくなる」(Microsoft会長のBill Gates氏)。

 Microsoft副社長のJulie Larson-Green氏はWindows 7用マルチタッチUIのデモンストレーションで,指で絵を描くフィンガーペイント用ソフトウエア「Touchable」と,指で操作できる写真管理ソフトウエア,地図ソフトウエアを取り上げた。画面上の鍵盤で音楽を奏でられる仮想ピアノも紹介した。

 MicrosoftだけがマルチタッチUIを追い求めているわけではない。米Appleご自慢だが売れ行きの芳しくないスマートフォン「iPhone」もマルチタッチUIを採用しており,新型ノート・パソコン「MacBook Pro」の一部モデルは若干のMac OS X用アプリケーションで限定的ながらマルチタッチ機能が利用できる(関連記事:Apple,Core 2 Duo搭載のMacBookとMacBook Proの新モデルを発売)。

 一方Microsoftは,Windows 7のマルチタッチUIで優位に立つチャンスがあり,これまでのWindowsで開発してきた技術と,テーブル型タッチ・コンピュータ「Microsoft Surface」の技術を活用できる(関連記事:タブレットPCはもう時代遅れ? Microsoftが新たな「テーブルPC」を発表)。同社CEOのSteve Ballmer氏が指摘した通り,AppleのマルチタッチUIはさんざんマスコミに取り上げられたが,対象となる市場の規模は非常に小さい。同氏は少し計算をして「2008年のパソコン販売台数は,Windows対応モデルが2億9000万台,Mac OS X対応モデルが1000万台と見込まれる。Appleはこの数字で大成功だし,当社も同様だ」と述べた。

 MicrosoftはWindows 7の情報を出し過ぎないよう慎重になっている。Windows Vistaで大風呂敷を広げたのにリリースを何度も延期し,機能を徐々に削っていったという大失敗で懲りたからだ。ところが,うわさと違ってWindows Vistaの売れ行きは,家庭向けと企業向けの両方とも予想を上回り続けている。同社は先日,2006年11月終わりに販売を開始したWindows Vistaの累積ライセンス販売数が1億5000本を超えたと発表した。

 Windows 7用マルチタッチUIのデモンストレーションの詳細情報,写真,関連リンクについては,SuperSite for Windowsに掲載したブログ記事(英文)を読んでいただきたい。