アサヒビールは2008年5月28日、同社と100%子会社のニッカウヰスキーの生産管理や品質管理などの業務を統合するシステムを稼働させたと発表した。「トータルプロダクションシステム」という名称で、システムの投資額は約25億円。原材料在庫を一元管理して廃棄量を減らすなど、年間経費を3億~5億円削減する。

 アサヒビールは今回のシステム統合について「コスト削減、生産工程における業務の効率化、トレーサビリティの強化などが目的」(同社広報)としている。アサヒビールとニッカは01年に営業統合したが、これまでシステムは統合していなかった。

 今回、統合したのは「生産管理」や「原価計算」「品質管理」「原材料調達」などのシステム。アサヒビールの国内9工場とニッカの国内7工場で利用する。これにより、原材料の一括購入や在庫の一元管理、システムの相互連携による入力作業の簡素化などが可能になる。製品ごとに最適な生産工場と製造ラインを選ぶこともできるようになった。

 システムの構築は主に富士通が担当した。生産管理システムについては富士通の食品メーカー向け開発フレームワークである「食品フレームワーク」を採用。「食品フレームワークの業務アプリケーション部品を活用し、効率的にシステムを構築した」(富士通広報)という。

 原価計算システムは富士通の原価管理パッケージ「GLOVIA/Process C1」をベースに、「酒税表記」など業界特有の機能を追加開発した。「アサヒビールとニッカが業務を標準化したことにより、パッケージのカスタマイズを最小限に抑えることができた」(富士通広報)としている。

 アサヒビールは今後もシステム統合を進めていく計画だ。現在、「ワイン製造子会社のサントネージュワインについても、トータルプロダクションシステムへの統合を検討している」(アサヒビール広報)という。