写真1●日立製作所のBlade Symphony SP
写真1●日立製作所のBlade Symphony SP
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●日立製作所のBlade Symphony SPの内部。左側がシャーシ本体。上部から、ブレード、電源、スイッチング・ハブ、ストレージ、UPS(オプション)が設置できるようになっている。右側は前部の扉。波型にスリットを入れた吸音材が張ってある
写真2●日立製作所のBlade Symphony SPの内部。左側がシャーシ本体。上部から、ブレード、電源、スイッチング・ハブ、ストレージ、UPS(オプション)が設置できるようになっている。右側は前部の扉。波型にスリットを入れた吸音材が張ってある
[画像のクリックで拡大表示]

 日立製作所は2008年5月28日、冷却ファンの音などの騒音レベルが45dBと低いブレード・サーバー「Blade Symphony SP(Simple Pack)」(写真1)を発表した。中堅中小企業を主なターゲットとして開発した製品で、オフィス内に設置しても気にならないように静音性を追及した。サーバー・ルームを持たないような中堅中小企業に導入を促すのが狙い。6月30日に出荷を開始する。

 従来からの16Uサイズのシャーシに、排熱用ファンの騒音などを吸音するためのドアを前後に取り付けた。従来製品とは異なり、吸音材を波型に内側から外へ切り抜いたスリットを用意。シャーシ内で騒音が反射することを防ぐと同時に、吸音材の面積を増やすことで、音の吸収率を上げる工夫を施した。

 Blade Symphony SPは「Simple Pack」と命名したように、「中堅中小企業から要望が強かった導入の簡素化にも注力した」(日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 第二サーバ本部の河村俊明本部長)という。単にブレードとシャーシを提供するのではなく、RAIDストレージやネットワーク機器、UPS(無停電電源装置)をシャーシに搭載し、配線の接続や各種設定を終了した形で納品する、オールインワン・パケージ型だ(写真2)。

 導入前や導入後の作業の簡素化も図った。具体的には、電源の種類、ブレードの設置場所の設定、メモリー容量など、従来のBlade Symphonyで100以上に上っていた設定項目などを5分の1から2分の1程度に削減。ブレード・サーバーに詳しくないユーザーでもサーバー内部の構成を把握しやすいように、選択肢を絞り込んだ。システム設定や運用機能も簡素化した。例えば、設定画面はWebブラウザをベースとしたGUIを採用し、コマンド入力による煩わしさを解消した。また、ブレードに障害が起こった場合、どのブレードが問題なのか写真などを使って示すなど、情報を分かりやすく表示するようにした。

 ラック内の構成は、複数の組み合わせが可能だ。CPUは、デュアルコアのインテルXeonプロセッサE5205とクアッドコアのインテルXeonプロセッサE5405の2種類用意した。いずれも、ブレードにはハードディスク(HDD)を内蔵しないモデルで、シャーシに最大7枚搭載できる。RAIDストレージは855Gバイト、1.7Tバイト、3.4Tバイトから選択できる。ネットワーク・スイッチと管理ソフトウエアの「JP1」を同こんする。UPS(無停電電源装置)はオプションで搭載できる。価格は424万9350円から。保守管理費用はBlade Symphony SP用5年パックが年間18万5220円から。

 同社は今後、予備サーバーをラック内に搭載し、障害時に予備サーバーに切り替えることができる「N+1コールドスタンバイ」機能にBlade Symphony SPで対応する予定だ。iSCSI接続で機能を利用できるようにし、ネットワーク機器の追加などは必要ないのが特徴だ。N+1コールドスタンバイ機能を搭載したBlade Symphony SPの新モデルも提供する予定で、「500万円を切る価格にしたい」(河村本部長)という。