写真1●「Cisco Application eXtension Platform」(AXP)のアーキテクチャ
写真1●「Cisco Application eXtension Platform」(AXP)のアーキテクチャ
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写真2●AXPモジュールと3GワイヤレスWANモジュールを装着した「CISCO ISR 3845」
写真2●AXPモジュールと3GワイヤレスWANモジュールを装着した「CISCO ISR 3845」
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写真3●2008年夏以降にWindows Server 2008を統合するWAN高速化装置(WAFS)の「WAE-674」
写真3●2008年夏以降にWindows Server 2008を統合するWAN高速化装置(WAFS)の「WAE-674」
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 シスコは2008年5月28日,同社の中小拠点向け統合ルーター「ISR」にサード・パーティのアプリケーションを統合する新モジュール「Cisco Application eXtension Platform」(AXP)を発表した。同社の「IOS」と連携するためのAPIも用意。サーバー機能のISRへの集約を可能にすることで,拠点におけるシステム/ネットワークの管理負担軽減を狙う。販売開始は同年7月を予定する。

 AXPは,米インテルのCeleronまたはPentiumとハード・ディスクなどからなる拡張モジュール「AXPサービス・モジュール」と,IOS連携可能なカスタマイズLinux,およびIOSを制御・監視するAPIを含む開発環境から成る(写真1)。サード・パーティはLinuxの仮想OS機能(Linux-VServer)で動くアプリケーションとして自社の製品をAXP向けに移植できるほか,従来は利用できなかったIOSのイベント情報などと連携するアプリケーションを開発できる。

 ユーザーはAXP向けアプリケーションをシスコ代理店または同社パートナのインテグレータなどを通じて主にソリューションとして購入する。国内では「2008年4月に発表済みの米国で先行する米アボセントの運用管理ソフト,米ナイス・システムズのVoIP通話録音ソリューションなどが最初のAXPアプリケーションになる予定」(テクノロジマーケティングの北かおりシニアプロダクトマネージャ)という。

3G携帯電話の通信モジュールも用意

 ネットワーク導入の手間を軽減する目的で,3G携帯電話の拡張モジュール「3GワイヤレスWANモジュール」も提供(写真2)。小規模拠点のWANとしての利用や,建設現場やイベント会場におけるアドホック利用を想定する。既存の携帯電話事業者のデータ通信カード/モジュールを増設するのではなく,SIMスロットを備える組み込み型の通信モジュールとして提供する。

 同モジュールはハードウエアとして,GSM/UMTS(W-CDMA)/HSDPAに対応。実際に利用可能なデータ通信サービスについては国内通信事業者と調整中。2008年第3四半期に対応事業者を発表する計画だ。

Windows Serverは2008年夏以降に統合

 ISRに統合するサーバー・アプリケーションは,あくまでリモート拠点向けの小規模なもの。AXPアプリケーションの開発はシスコとのパートナ契約が必要になるうえ,シスコの認証を受けたプログラムでなければ実行できない。ユーザーが自由に使える重量級のサーバー・アプリケーションの統合については,WAN高速化装置(WAFS)の「WAE-674」(写真3)に,Windows Server 2008を統合するVirtual Bladeを提供する。

 WAFSにWindows Server 2008を統合するのは,従来はWAN越しに利用していたサーバー・アプリケーションの一部を拠点側で動作させることでWAN越しの通信を減らすため。国内では2008年夏以降に提供を始める。