OKI(沖電気工業)は2008年5月28日、半導体事業を分社化してロームに売却すると発表した。10月1日にOKIの100%子会社「OKIセミコンダクタ」として分社化し、同時に発行株式の95%をロームに譲渡する。また、通信機器事業の分社化も計画していることを明らかにした。篠塚勝正代表取締役社長兼CEOは「ロームとは商品が補完関係にあるうえ、製造の共通化で単独では実現できないレベルのコスト削減を実現できる」と半導体事業の売却を決断した理由を述べた。

 分社化する半導体事業は、2007年度実績で売上高1382億円、営業利益38億円。黒字下での事業売却となる。従業員数は全体で約6000人、資本金は200億円となる予定だ。「株式譲渡について今日早朝にロームと基本合意した。新会社の価値は約900億円ということで合意しており、発行株式の95%相当を譲渡する」(篠塚社長兼CEO)という。OKIに5%の株式を残すのは「ライセンスやブランドなど解決すべき課題があるため。永久に持つつもりはない」とする。

 一方、通信機器事業に関しては10月の新会社設立を目指す。事業売却は「現在は考えていない」とした。8月までに取締役会で意志決定する予定だ。分社化の対象は、通信事業者のNGN(次世代ネットワーク)向け製品と一般企業向け製品の開発、販売、マーケティング。電話交換機など通信事業者向けのレガシー機器の販売はOKI本体に残す。分社化した新会社は売上高約800億円、従業員数約700人となる見込みだ。

 もともとの“本業”である通信機器事業を切り離す理由について「市場環境の変化が激しい。レガシー網向けの機器は通信事業者からの受注を待っていれば良かったが、NGNでは我々から企画提案しなければならない。なるべく小規模でフットワークの良い組織を作る必要があった」(篠塚社長)と説明する。