写真 Cell搭載ブレードの日本IBM「BladeCenter QS21」
写真 Cell搭載ブレードの日本IBM「BladeCenter QS21」
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 日本IBMは5月27日、みずほ証券にCellプロセサ搭載のブレード・サーバーを納入したと発表した。複雑な金融商品の開発・運用を高速に処理するHPC(高性能コンピュータ)用途で導入しており、世界の金融機関で初めての採用となる。みずほ証券によると、「技術面から実業務に導入するメドが立ったため公表した。運用開始の時期は検討中」という。

 採用したのは、マルチコアのプロセサ・モジュール「Cell Broadband Engine」(Cell/B.E)を搭載したブレード「BladeCenter QS21」。BladeCenter QS21は3.2GHz動作のCell/B.Eを2個搭載しており、最大ピーク時性能が460ギガFLOPS。導入の規模や投資額は明らかにしていない。

 Cellのアプリケーション開発環境は他のプラットフォームに比べると一般的ではないが、用途によっては高速化が図れる。アプリケーション開発やシステム構築はフィックスターズ(東京・港)が支援した。フィックスターズによると、みずほ証券の従来の金融派生商品システムに比べて10倍以上の速度で処理できる見通しだという。

 Cellは米IBMが東芝やソニー・コンピュータエンタテインメントと共同で開発した独自のプロセサ。1つのプロセサ・モジュール内に、汎用プロセサと画像処理やシミュレーションなど特定の演算に強い専用プロセサを複数搭載しているのが特徴。