MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は2008年5月第4週,2008年初めに提案したYahoo!買収計画が戦略的な行動でなかったと明言し,歴史の修正に取り組んでいる。同氏は帰国を延ばして立ち寄ったモスクワで「当社が推進している戦略にYahoo!は含まれていない。500億ドルあればいろいろなことができる」と述べた。

 かつてYahoo!に固執し,現在もこだわり続けているらしい状況からすると,やや不誠実な態度に思える。それだけでない。当初Ballmer氏は「米Googleと張り合える『規模』に当社を短期間で拡大するにはYahoo!が必要」と主張したのだ。

 Yahoo!に対する関心を失った理由はよく分からない。Microsoftが同週ワシントン州レドモンドの本社で開催した広告関連イベント「advance08 Advertising Leadership Forum」を見ても,単独で規模を迅速に拡大できる根拠はほとんど伝わってこなかった(関連記事:Microsoftが広告分野の取り組みを紹介,Yahoo!との交渉は先行き不透明)。

 つまり,Microsoftが純粋に戦略的な理由でYahoo!買収を望み,間違いなく現在も同じ考えを抱いている。このように解釈しないと,突如500億ドルもの金をつぎ込もうとする慌てぶりは説明できない。