米Google共同創業者のLarry Page氏は2008年5月第4週,米国の地上デジタル・テレビ放送で使われない周波数帯「ホワイト・スペース」を無線ブロードバンド・インターネット接続サービス用として使う提案について話し合うため,ワシントンD.C.を訪れた(関連記事:Google,“ホワイト・スペース”の無線ブロードバンド向け開放をFCCに要求)。ただし,このワシントンD.C.訪問で本当に注目しておきたい点は,同氏が「米Microsoftと米Yahoo!の提携は独占禁止法(独禁法)に対する重大な犯罪行為」で,(オンライン市場をほぼ完全に支配している)Googleなら「Yahoo!とどのような形態で協業しても全く問題ない」と主張したことである。

 Page氏の述べた虫のよい理屈は,全く目新しくない。(重要で利益になるインスタント・メッセージング(IM)市場の経済に及ぼす影響度を考えると)MicrosoftとYahoo!の市場シェア合計は「コミュニケーションの90%」を占めるが,GoogleとYahoo!なら問題ないという。そしてPage氏は「Googleの広告分野などにおける市場シェアは大きい」で済ませた。申し訳ないが同氏には「いい加減なことを言うな」と伝えたい。

 MicrosoftとYahoo!を合わせたIM/電子メール市場のシェアは,米国に限ると約70%,全世界で約77%となり,90%からほど遠い。そして,年間売上高はMicrosoftが米国には不要だと考えているノースダコタ州の男性から受け取る有料メールサービス「Hotmail Plus」用アカウント一つ分の約19ドルだけだ(編集注:これはもちろんPaul Thurrott氏のジョークである)。

 一方,米国の検索広告市場は約82%がGoogleとYahoo!に支配されており,巨大な収益源となっている。オンライン広告市場が1年間に生み出す550億ドルのうち,半分以上をGoogleが1社で独占している。MicrosoftとYahoo!の提携が反競争的で,GoogleとYahoo!の組み合わせなら何でも許されるという理由を,改めて説明してもらいたいものだ。