米Yahoo!は現取締役9人を留任させる人事案を明らかにした。同社が米国時間2008年5月23日付で米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると,次回の株主総会で提案する取締役候補として既存の取締役9人を指名している。

 同社の取締役は10人だったが,5月20日付でEdward R. Kozel氏が退任した。今回指名された9人は同社CEOのJerry Yang氏のほか,取締役会会長Roy J. Bostock氏をはじめ,Ronald W. Burkle氏,Eric Hippeau氏,Vyomesh Joshi氏,Arthur H. Kern氏,Robert A. Kotick氏,Mary Agnes Wilderotter氏,Gary L. Wilson氏。Yang氏以外は全員が社外取締役(Independent Director)である。

 なおYahoo!は,5月22日付で提出した別のSECへの書類で,7月3日に開催する予定だった株主総会を7月末ごろに延期することを通知している。投資家のCarl Icahn氏が仕掛けている委任状争奪戦への対策を検討するための時間稼ぎだろうと米メディア(Internetnews.com)は報じている。

 Icahn氏は5月15日に,Microsoftとの合併を再検討するよう促す公開書簡をBostock氏に送り,委任状争奪戦を仕掛ける意向を正式に示した。Icahn氏は,自身を含む10人の役員候補者と現取締役との交代を目指している(関連記事:投資家Icahn氏がYahoo!会長にMicrosoftとの合併を提言,委任状争奪戦へ)。これに対してBostock氏は,現取締役が全株主の価値を最大限に引き上げる最高の適任者であるとして,留任する考えを示した(関連記事:Yahoo!,同社役員の退陣を求めるIcahn氏に対して「現役員は最適者」と反論)。

 その数日後の5月18日,MicrosoftはYahoo!と提携する方向で検討中であることを明らかにした。Yahoo!のすべてを取得するのではなく,同社との取引を伴うかたちで,引き続きオンライン・サービスおよび広告事業の強化と拡大を押し進めるための選択肢を探っていると説明。ただし,現時点で買収を再提案することはないとしながらも,「Yahoo!またはYahoo!の株主,または当社の株主,あるいは他社との将来的な展開や交渉によっては,その選択肢を再検討する権利は維持する」としている(関連記事:MSがYahoo!と提携を検討中,「買収の再提案はない」としながらも可能性は残す)。 

[SECへの提出書類(1)]
[SECへの提出書類(2)]