ひがやすを氏
ひがやすを氏
[画像のクリックで拡大表示]
Seaser Conference 2008 Spring
Seaser Conference 2008 Spring
[画像のクリックで拡大表示]
Slimで習得すべき内容
Slimで習得すべき内容
[画像のクリックで拡大表示]
SlinCoreの独自拡張
SlinCoreの独自拡張
[画像のクリックで拡大表示]
Slimのサンプル・プログラム
Slimのサンプル・プログラム
[画像のクリックで拡大表示]

 「新しいカテゴリのソフトウエアとして位置付け,英語で情報発信して世界への普及を狙う」---ひがやすを氏は2008年5月24日開催されたSeasar Conference 2008 Springで新フレームワーク「Slim(Simple, Less is More)」を発表した。

 Slimは,ひが氏が開発したJavaフレームワークSeasar2の機能を絞り込んでシンプルにし,習得しやすくしたものだ。Seasar2はDI(Dependncy Injection)コンテナと呼ばれることが多かったが,DIコンテナとしては海外ではSpringが普及している。Seasar2の特徴であるホットデプロイ(Webアプリケーション・サーバーを再起動することなくプログラムの修正を反映できる)機能を前面に押し出し「ホットデプロイ可能なフルスタック・フレームワーク」という,Javaでアジャイル(俊敏)な開発を行うための新しいカテゴリのソフトウエアとして位置付ける。

 「スーパードライは『ドライビール』という新しいカテゴリを作り,そこで1位となったことで,長年ビール全体の最大手だったキリンからシェア1位を奪った。Slimも『ホットデプロイ可能なフルスタック・フレームワーク』という新しいカテゴリのトップのソフトウエアになる。またフォルクスワーゲンは,成功した小型車のブランドを,高級車に使用して失敗した。別のカテゴリの製品に既存のブランドを使用してはならない。だからSlimという新しいブランドを作る」(ひが氏)。

 シンプルにして学習を容易にする。ひが氏は「SlimのWebアプリケーションはStrutsを知っていれば1時間,知らない場合でも3時間で学習できる。DIはEJB3を知っていれば2時間,知らない場合は3時間。DBアクセスはJPAを知っていれば1時間,知らない場合は2時間」とする。「設定ファイルはほとんど書かない。アノテーションも必要最低限。規約も必要最小限。『Simplicity Over Configration』(シンプルさは規約にまさる)がSlimのキャッチフレーズ」(ひが氏)。

 SlimはSlim Core,Slim EE,Slim Struts,Slim JPA,Slim Xxxで構成する。Slim CoreはSeasar2コンテナ,Slim StrutsはSAstruts,Slim JPAはS2JDBCがベースだ。Slim Xxxは既存のSpringの機能を100%利用可能にするモジュール。これによりSpringからの移行を容易にする。ただし,Spring Beanはホットデプロイできない。

 ドキュメントは英語を優先する。「日本語のドキュメントは最初は用意しない。ユーザー・メーリングリストは日本語と英語を用意するが,開発者メーリング・リストは英語のみにする予定。infoQで海外に情報発信していきたい」(ひが氏)。

 Seasar2,SAstruts,S2JDBCは安定版という位置付けになる。「大きな機能追加はしないが,より成熟させるための機能改善は行う。今後も末永く使い続けることができる」(ひが氏)。

 またSeasar Conference 2008 Springではこのほか,GUIリッチアプリケーションフレームワーク「Uruma」や,Strutsのラッパーフレームワーク「SAStruts」,ORマッパー「S2Dao」と「DBFlute」,チーム・個人のライフハック・ツール「tugboat.GTD」に関する講演などが行われた。

 Urumaはコミッタのエスエムジーの小森裕介氏と杉上洋平氏が紹介した。UrumaはEclpise RCPによるJavaデスクトップ・アプリケーションを効率よく開発するためのフレームワーク。2008年中の正式リリースを目指している。 

 SAStrutsはティーアンドエフカンパニーの出羽健一氏が紹介した。SAStrutsは2008年1月に正式リリースされたStrutsのラッパーフレームワーク。すでに数社の大企業が採用を決めているという。

 tugboat.GTDはサイオステクノロジーの原陽亮氏が紹介した。Getting Things Done(GTD)と呼ぶタスク管理手法をWebアプリ化したソフトで,個人でもチームでも使用できる。2008年9月,バージョン1.0の正式リリースを目標としている。

 これらの講演資料はSeasar Conference 2008 Springの公式ページからダウンロードできる。