総務省は2008年5月22日,100Mビット/秒超の速度を可能にする3.9世代携帯電話(3.9G)導入に向けて技術的条件を専門的に調査するIMT-2000高度化作業班の第2回会合を開いた。第1回の会合(関連記事)に引き続き,携帯電話事業者や端末メーカーが3.9Gで想定されるサービス像や各社の取り組みについてプレゼンを実施。第2回会合に登場したのは,KDDI,ソフトバンクモバイル,日立製作所,富士通,シャープ,ソニーの6社である。

 4月末の決算発表時に3.9G規格として,W-CDMAの延長技術であるLTE(long term evolution)の採用を示唆したKDDIは(関連記事),今回はどの技術を採用するのかを明確にしなかったものの,3.9Gの必然性と導入に対する考え方を披露した。携帯電話のトラフィックは今後,指数関数的に増大することが予測されるため,「周波数の利用効率を引き上げるためには3.9Gの活用が必要」(KDDI 技術渉外室電波部企画・制度グループの菅田明則担当部長)とした。導入に向けた利用周波数帯域幅としては,「3.9Gでは既存の3Gよりも幅広い帯域を使えるので,まず片方向10MHz幅を基本に技術的な検討を進めるべきでは」(同)という考えを見せた。

 ソフトバンクモバイルも,特にデータ・トラフィックの増加予測が難しく,次世代技術の導入が不可欠とし,「3.9G技術であるLTEに加えて,(HSPAを高速化した)HSPA Evolution(HSPA+)の検討も望まれる」(ソフトバンクモバイル 技術総合研究室テクノロジー開発センターの竹中哲喜担当部長)という考えを紹介した。

 今回はソニーやシャープなどの家電機器ベンダーが,3.9Gに対する期待を語る場面も目立った。例えばソニーは,3.9Gが実用化されればビデオカメラで撮影したHD(高精細)動画もその場でブログやSNSなどに短時間でアップロードできるとし,「将来はカメラにディスクなどのストレージを搭載する必要が無くなる可能性があるのでは」(ソニー 技術開発本部企画管理部の大西完司開発企画担当部長)と語った。

 また音楽ファイルも,3.9Gでは40秒で100曲程度がダウンロード可能なため(100Mビット/秒の速度で,100曲分が500MBの容量とした場合),「ウォークマンに3.9Gの通信機能を備えることで,手のひらの中にCDショップができる」(同)。3.9Gによって可能になる新たなサービス像の一端を披露した。