ウィルコムは2008年5月22日,次世代PHSのデータ通信カードおよびバックボーン・システムの開発ベンダーを公表した。データ通信カードはネットインデックスとNECインフロンティア,バックボーン・システムは米スタレントネットワークスを選定した。基地局は京セラを中心に開発を進めており,公表済みである。次世代PHSは,2009年4月に試験サービスの開始を予定している。

 データ通信カードの開発ベンダーは「小型化・低消費電力化など現行PHSの特徴や優位性を継承して開発することが重要なため,現行PHSの端末開発で既に実績のある2社を選定した」(ウィルコム)。通信カードは次世代PHSと現行PHS(W-OAM typeG)の両方に対応したデュアル端末を予定する。次世代PHSに対応していないエリアは現行PHSに自動的に切り替えて通信する。

 ベースバンド・チップは,イスラエルのアルテア・セミコンダクタ(Altair semiconductor),カナダのウェーブサット(Wavesat),エイビットと共同で開発する。エイビットは現行PHSで,アルテア・セミコンダクタとウェーブサットは次世代PHSと同じOFDMA(orthogonal frequency division multiple access)を利用するWiMAXで,それぞれチップの開発実績がある。

 ネットインデックスはアルテア・セミコンダクタ,NECインフロンティアはウェーブサット/エイビットのチップを採用し,試験サービスの開始と同時に端末を出荷する。ただし,NECインフロンティアが当初提供するのは次世代PHSのみに対応した通信カードで,次世代PHSと現行PHSのデュアル端末は2009年10月の本格サービスの開始時期になる見込みである。

 一方,バックボーン・システムの開発ベンダーは,世界各国の移動体通信事業者に対して導入実績を持つスタレントネットワークスを採用した。「基地局ベンダーとの接続・実証実験の豊富な実績,デモンストレーションの完成度の高さ,シングル・プラットフォームで多くのサービスを実現できるノウハウなどを評価した」(同)。基地局を収容したバックボーン・ネットワークにおける接続制御,認証,位置管理といった仕組みの構築を担当する。

 なお,音声端末の開発ベンダーに関しては「現在検討中」(同)としている。

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