米Microsoftは米Yahoo!に対し,広告事業における提携を改めて提案した。今回MicrosoftはYahoo!に買収を持ちかけていないが,またもや方針を転換し,買収交渉を再開する可能性も残した(関連記事:MSがYahoo!と提携を検討中,「買収の再提案はない」としながらも可能性は残す)。

 Microsoftが2008年5月18日(米国時間)に出した声明には,「当社はYahoo!を買収対象でなく取引相手とする選択肢を,Yahoo!とともに検討している」とあった。「現在のところ,Yahoo!全体を買収するという新たな提案は出していない。Yahoo!またはYahoo!の株主,または当社の株主,あるいは他社との将来的な展開や交渉によっては,(買収という)その選択肢を再検討する権利は維持する」(Microsoftの声明)。

 Microsoftに近い関係者によると,Microsoftは両社のオンライン広告部門を統合し,市場トップの米Googleと戦える体制の構築を提案したという。ご存じのように先ごろYahoo!は,Web検索技術の一部をGoogleに外部委託するための交渉を進めていた。ただし,世間ではこの動きを「企業の自殺行為」とみなす意見が多かった。Microsoftが新たに出した提携計画の目的は,GoogleとYahoo!の協業がどのような形態をとるにせよ,すべて阻止したいのだろう。

 一方Yahoo!は,首尾よくMicrosoftに買収を断念させたものの,主要株主に反旗を翻されてしまった。億万長者の投資家Carl Icahn氏は5月15日,Yahoo!の現役員を退陣させ,Microsoftとの取引に前向きな新役員を送り込むため,委任状争奪戦を行うとの意向を表明したのだ(関連記事:投資家Icahn氏がYahoo!会長にMicrosoftとの合併を提言,委任状争奪戦へそれぞれの道を選んだかに見えたYahoo!とMS,買収劇に新章の予感)。ただし,Icahn氏はこの計画についてMicrosoftとまだ一度も正式に話し合っていない。