情報通信審議会 情報通信技術分科会の「携帯電話等周波数有効利用方策委員会」傘下の2GHz帯TDD方式技術検討作業班の第4回会合が2008年5月20日に開催された。事務局より作業班報告の案が示され,一部表現の修正などが施されることになったが,おおむね了承された。

 この作業班の検討で一緒に検討されることになったHSPA Evolution(HSPA+)については,現行のW-CDMAの技術的要件に対して,上り回線と下り回線の変調方式を追加(多値化)するという変更のみである。具体的には,下り回線では,BPSK,QPSK,16値QAMに加えて64値QAMを追加する。下り回線では,BPSK,QPSKに加えて16値QAMが加わる。その結果,最大データ伝送速度が下り回線で約22Mb/s(HSPAは約14Mb/s),上り回線で約12Mb/s(同約5.8Mb/s)となる。

 HSPA Evolutionについては作業班のメンバー(イー・アクセスの諸橋智雄氏)が「省令改正などの手続きに速やかに入り,サービスを速やかに提供できるようになることを希望する」とコメントするなど,事業者の期待が大きい。総務省側も「告示の改正だけであり,できるだけ速やかに改正する」と回答した。

 2GHzTDD方式については,提案のあったモバイルWiMAX,802.20 625k-MC,次世代PHS,E-UTRA TDD(LTE-TDD),UMB-TDD,802.20 Widebandについて,共用条件などを示す内容になっている。この作業班の報告書は,2GHz帯TDD方式移動通信システムの動向,同システムと他システムとの共用検討,同システムの技術的条件,HSPA Evolutionの技術的条件で構成される。5月29日に開催予定の携帯電話等周波数有効利用方策委員会に提出される。その後,約1カ月程度,パブリックコメントにかける予定である。