東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 講師 笹田耕一氏
東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 講師 笹田耕一氏
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ネットエージェント 代表取締役社長 杉浦隆幸氏
ネットエージェント 代表取締役社長 杉浦隆幸氏
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 独立行政法人 情報処理推進機構は2008年5月16日,第4回IPA賞の受賞者を発表した。Rubyの新VM(仮想マシン)YARVを開発した笹田耕一氏,PtoPファイル共有ソフト監視システムを開発したネットエージェントの杉浦隆幸氏らが受賞した。

 IPA賞は,IPAの事業を通じて技術開発などで活躍した個人やグループを表彰するもの。2005年度に創設された。

 オープンソフトウェア部門では,Rubyを高速化した新しいVM YARVを開発した,東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 講師 笹田耕一氏が受賞。「YARVの開発者としてRubyの高速化に貢献しているほか,日本Rubyの会,Ruby 会議,Rubyist Magazine等のRuby のコミュニティ活動を継承しつつ,Ruby の普及・促進にも大きな影響を与えている。学生時代よりYARV の開発を進めており,大学において学んだコンピュータの基礎理論を駆使して地道な言語処理系を実装した点,コミュニティ活動に積極的に参加している点は多いに評価でき,オープンソフトウェアに関わる学生(若手研究者)のひとつのロールモデル(模範)ともいえる」(選評)。

 ソフトウェア部門ではWinnyやShareなどのPtoPファイル共有ソフトの暗号を解読し,監視システムや,通信をブロックする装置「One Point Wall」などを開発したネットエージェント 代表取締役社長 杉浦隆幸氏が選ばれた。

 ソフトウェアエンジニアリング部門では,ソフトウェア開発プロジェクト可視化ツール(EPM: Empirical Project Monitor) を開発した奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 松本健一氏と,リスクを「見える化」する方法を検討し,SEC BOOKS「ITプロジェクトの『見える化』」としてまとめた「IPA/SECプロジェクト見える化部会」が選ばれている。

 情報セキュリティ部門では電子政府推奨暗号リストの策定に尽力した電気通信大学 電気通信学部 情報通信工学科 教授 太田和夫氏が受賞。

 人材育成部門では情報処理技術者試験の15試験すべてに合格した鉄道情報システム営業推進本部第一営業企画部営業企画課主任 政野俊和氏,ソフトウェア開発技術者試験に受験時14歳2カ月と最年少で合格した学校法人三木学園 白陵中学校3年生 藤本理澄氏が受賞した。