「SOA(サービス指向アーキテクチャ)が前提になってきたことで、業務・システム改革などの提案の仕方が変わってきた」。IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)の椎木茂社長(写真)は5月16日、IBMのSOA戦略を説明する記者発表会でこう語った。
例えば、顧客に対して目指すべきシステムのプロトタイプを提示し、それを参考にして既存システムをどう変えていくか提案するとしよう。「これまではプロトタイプを作るのに時間がかかっていた。しかし、IBM WebSphere Business Services Fabric(WBSF)と呼ぶミドルウエア製品を利用すれば、すぐに動くシステムを見せることができる」(椎木社長)。作成方法はシステム・インテグレーションというより、パッケージ導入時のフィット&ギャップ分析に近いが、「SOAに基づいて事前に必要なサービスを選択して構築できることが、従来のパッケージと異なる」(同)。
WBSFはSOAに基づくシステムを構築するためのミドルウエア。「顧客情報の検索」「予審」など業務上意味のある単位でまとめたアプリケーション部品「ビジネス・サービス」を用意し、それらを組み合わせて利用する実行環境を備える。IBMのサービス部門は、ビジネス・サービスをアセット(アプリケーション資産)として蓄積しているので、それらをWBSF上で動作させれば、すぐに動くシステムを構築できるという。 国内におけるWBSFそのものの導入実績はまだほとんどないが、「コンサルティング活動のツールとして活躍している」(椎木社長)。