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 NECは2008年5月15日、2008年3月期連結決算を発表した。売上高は4兆6172億円と前期より0.8%減ったが、営業利益が同124.0%増の1568億円とV字回復を果たした。経営課題となっていた携帯電話(モバイルターミナル)事業と半導体(エレクトロンデバイス)事業の黒字化が効いた。ただし売上高営業利益率は3.4%と競合の富士通(3.8%)にはまだ及ばない。09年3月期は売上高が前期比4.0%増の4兆8000億円、営業利益が同8.4%増の1700億円、売上高営業利益率3.5%を見込む。

 モバイルターミナル事業は国内市場への集中により黒字化を達成した。下期に投入したNTTドコモ向け端末のヒットも収益を向上させた。パソコン事業を含むモバイル/パーソナルソリューション事業は売上高こそ前期比9.5%減の8729億円だったが、232億円の営業黒字を計上した。前期は335億円の赤字だった。

 エレクトロンデバイス事業は研究開発費の削減をはじめとする経営効率の改善で黒字化を成し遂げた。売上高は同3.5%減の8309億円、営業損益は230億円の赤字から74億円の黒字に転換した。

 主力のIT/NWソリューション事業の売上高は2兆8662億円。前期より3.9%増えた堅実な成長を示した。特にネットワークシステム分野の売上高が1兆860億円と597億円も増えた。NGN関連ビジネスが好調で売上高2000億円と前期の900億円から倍増した。小野隆男 取締役執行役員常務(写真)は「成長戦略を着実に遂行することにより目標を達成できた。09年3月期には3000億円を目指したい」と期待する。

 サーバーやミドルウエアなどのITプロダクト分野(昨年度まではITプラットフォーム分野)の売り上げは6068億円で446億円の減収だった。ITサービス/SI分野は8325億円、社会インフラ分野は3409億円で、それぞれ増収となった。

 IT/NWソリューション事業の営業利益は、前期比66億円増の1606億円。ITサービス/SI分野における売り上げの増加や、生産革新によるコストダウンによる。