NCR FastLane Release 5
NCR FastLane Release 5
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日本NCR社長の三ツ森隆司氏
日本NCR社長の三ツ森隆司氏
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 日本NCRは,一般消費者がセルフサービスで商品を決済可能な小売店舗用レジスタ装置の新機種「NCR FastLane Release 5」を,2008年5月15日に販売開始した。従来機種と比べて体積を最大41%削減し,設置を容易にした。価格は,レジスタ装置4台と専用の監視端末1台からなる構成で約1500万円程度。販売目標は今後3年間で1万台。開発会社は米NCRで,米国,欧州,日本で同時に販売を開始するが,日本向け製品は日本仕様にアレンジしたものとなる。

 FastLaneは,スーパー・マーケットなどの小売業店舗などで用いるPOSレジスタ操作を,店員ではなく一般消費者本人によるセルフサービスによって実施するための装置である。商品のバーコード・スキャナ,現金支払機,レシート印刷用プリンタ,タッチ・パネル機能付き情報表示コンソールなどで構成する本体部と,割り箸や生鮮食品用ポリ袋などを配置するユーティリティ棚や買い物袋への商品格納作業を支援する作業棚などの拡張部で構成する。

 従来機と比べた新機種の最大の特徴は,容積を削減し,コンパクト化を図った点である。大きさは,従来機が幅172.2×奥行97×高さ139センチ・メートルで設置面積1.67平方メートルだったのに対して,新機種では,買い物袋設置領域が狭いコンパクト・タイプで幅125.7×奥行81.3×高さ135.9センチ・メートルで設置面積は0.981平方メートルと,面積比で59%に削減されている。買い物袋設置領域が広い標準タイプでも,設置面積は1.347平方メートルと,面積比は従来比81%に抑えている。

 設置面積の削減は,需要がありながらこれまで導入を見送ってきたケースに対する解決策となる。例えば,スーパー・マーケットのような大規模店舗だけでなく,百貨店やドラッグ・ストア,コンビニエンス・ストアなどの比較的小規模な店舗でも導入がしやすくなる。また,大規模店舗であっても,より多くの台数を設置できるようになる。

 日本NCR社長の三ツ森隆司氏は,新機種について「細かいちょっとした部分で,日本人のきめ細かさが反映されている」と,その使い勝手の良さをアピールする。本体部のベース部分はワールドワイドで共通のハードウエアだが,この開発にあたっては,日本人の消費者の声を拾い上げ,重要視して反映させたとしている。さらに日本仕様の国内版では,買い物袋に格納する際に商品を一時的に配置する作業棚など,日本オリジナルの機構を設けている。

 国内でのFastLaneの出荷は,2003年に大手スーパーのイオン(店名はマックスバリュ,ジャスコ,マイカル)への導入に始まる。この5年間で,600台を超える導入を実施した。2008年以降,導入が急拡大し,2008年の1年間で800台弱,今後3年間で1万台を売るとしている。海外では,米国で1997年,欧州で2001年から導入が始まり,すでに4万5000台以上を出荷済みという。POSレジスタ分野に強い米IHL Groupの調査では,2007年までの設置済み台数シェアは,米NCRが59%,富士通が26%,米IBMが14%,他が1%である。