「毎年の目標を,営業利益率を毎年1ポイントずつ上げることを置いている。この目標は,当面達成できそうだ――」。IIJ(インターネットイニシアティブ)の鈴木幸一・代表取締役社長は,2008年5月15日に開催した2008年3月期の業績で,今後の業績に関して手応えを感じていることを明らかにした。

 IIJの同期の売上高は前年度比17.1%増の668億4000万,営業利益は同36%増の47.6億円。営業利益率は7.1%となり,前年度に比べてちょうど1.0%増えた。鈴木社長の自信の裏づけになっているのは,同社が「ストック売上」と呼んでいるインターネット接続サービス,付加価値サービス,ネットワーク・システムの運用・保守事業が堅調なこと。ここ数年間,ストック売上は右肩上がりを続けている。システム構築や機器販売事業の「一時売上」には「課題を残す」ものの,ストック売上の拡大は今後も続きそうだという。

 例えば,法人向けの接続サービスでは1Gビット/秒を超えるユーザーが大幅に伸び,70契約に達している。その多くは,動画などのコンテンツ配信系やインターネット接続事業者(ISP)だという。だだ,今後はメーカーなど一般企業にも広がるのではないかという期待もあるという。

 2008年度(2009年3月期)の見通しについては,売上高について07年度比17.5%増の785億円,営業利益は9.3%増の52億円を見込む。営業売上高比率は07年度を下回るが,「新規子会社の立ち上げなどにより,費用が一時的に増えたため」とする。今回の会見では,今後3年間の中期目標も示した。2010年度には,売上高1000億円,営業利益100億円を目指すという。これが達成できれば,「毎年1ポイントの営業利益率の改善」の目標は果たせることになる。

 中期的な検討課題としては,データセンターを掲げた。同社は「データセンターに関する技術ノウハウはある」(鈴木社長)ものの,自社のデータセンター設備を持っていない。発電所の近くに巨大データセンターを設置している米国の事例や,自治体が共同運用するデータセンターの可能性などを紹介しながら,大型のデータセンターを都市部以外に設ける可能性があることを示唆した。