NII社会共有知研究センター長の新井紀子教授
NII社会共有知研究センター長の新井紀子教授
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屋久島町副町長の日高典孝氏
屋久島町副町長の日高典孝氏
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 国立情報学研究所(NII)は2008年5月14日、「NetCommons」というオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)を基盤とした、鹿児島県屋久島町全体の情報共有システムを約100万円という低コストで構築したことを発表した。

 NetCommonsは、NIIが2001年から研究開発を続けてきたCMS。Webベースの情報共有を目的としており、サーバー用のシステムは、約5分でインストールできるほど簡便だという。また、Webページの編集には、ワープロとデジカメ操作程度のスキルがあれば可能という。使用できる機能には、Webサイトの構築支援、グループウエア、スケジュール管理などの個人向けファイル管理システムなどがある。NIIは、これをオープンソースとして公開しており、すでに教育機関を中心に約1500の団体に導入されている。

 屋久島町は、2007年10月に2つの町が合併して発足した。2つの町それぞれが持っていたWebサイトの統合や、島内6カ所に分散する庁舎でどうコンテンツを管理するかが課題となった。また、ネットワークインフラ構築の際の、費用と運用技術も足かせとなっていた。それらの問題を解決するために導入されたのが、NetCommonsであった。

 今回の導入事例は、約100万円という低コストで実現できたのが特徴。システムの構築とデザインにかかった期間は約1カ月。ネットワーク回線を新設せず、既存のISDN回線を使用することでコストを抑えた。

 NIIは今後もNetCommonsを強化し、Ajaxを取り入れるなどして操作性、デザイン性を向上させた「NetCommons2.0」を、8月11日のNetCommonsユーザカンファレンスにて発表、秋には産業界と連携してサービスを開始する予定。