総務省は2008年5月14日,ソフトバンクモバイルが4月9日以降の1カ月間で重大な事故に該当するサービス停止を3回引き起こしたことを問題視し,同社に行政指導した。

 問題となったサービス停止は,(1)4月9日,(2)5月5日,(3)5月6日の3回。(1)4月9日は在圏位置登録装置電源部の故障で18時9分から23時41分の5時間32分間にわたって第3世代携帯電話(3G)の音声通話を利用できなくなった。全国の約87万ユーザーに影響を及ぼした。

 (2)5月5日は移動体通信交換機の故障で3時37分から6時45分の3時間8分間にわたって第2世代携帯電話の全サービスを利用できなくなった。秋田県全域と,青森県/福島県/宮城県の一部地域の約4万4000ユーザーに影響が出た。

 (3)5月6日はパケット交換機の故障で6時29分から11時13分の4時間44分間にわたって3Gのパケット通信サービスが利用できなくなった。影響範囲は東京都東部,千葉県西部,埼玉県南部の一部地域の約64万ユーザーである。

 ソフトバンクモバイルの報告によると,いずれの事故も予備系の設備が設置されていたにもかかわらず,障害発生時にうまく機能せず大規模なサービス停止に至ったという。総務省は「システムの信頼性向上対策や障害の極小化対策など,設備管理のために必要かつ適切な措置が十分になされていなかった」と判断し,総合通信基盤局長名の文書で同社に行政指導した。

 ソフトバンクモバイルは今回の行政指導に対し「このたびの通信障害でお客様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。障害発生後に原因を究明し,今回の障害に対する再発防止策は完了しています。今後も事故が発生しないよう,さらなる対策に努めて参ります」としている。個別の対策は完了しているが,設備構成の見直し,バックアップ体制の強化,マニュアルの再整備などを改めて実施したうえで,6月13日までに総務省に報告する。

 なお,総務省はサービスの停止や品質の低下で3万人以上のユーザーに影響を及ぼした,または復旧までに2時間以上を要した障害を「重大な事故」とみなし,事業者の報告を義務付けている。2007年度に生じた重大な事故は計11件。重大な事故が1カ月以内に同一事業者で3件発生したため,通常の口頭による指導よりも重い措置となる「文書による指導」を実施した。

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