写真1●Super 3Gについて展示したNTTドコモのブース
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写真2●KDDI研究所はIMT-Advancedの屋外実験を紹介
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写真3●NECが開発したWiMAXエリア設計用の電波伝搬シミュレータ
写真3●NECが開発したWiMAXエリア設計用の電波伝搬シミュレータ
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写真4●情報通信研究機構(NICT)のコグニティブ無線端末
写真4●情報通信研究機構(NICT)のコグニティブ無線端末
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 無線技術に関する研究開発の成果を集めた展示会「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2008(WTP2008)」が2008年5月13日~14日,神奈川県・横浜市で開催された。展示会場では,研究に取り組む企業や団体がブースを展示し,次世代の携帯電話などに関する最新技術を披露した。

 NTTドコモは,同社が「Super 3G」という名称で開発を進める携帯電話の次世代規格,LTE(long term evolution)について屋外実験の様子を紹介した(写真1)。実験は,同社の研究センターに備えたアンテナから移動局を搭載したトラックに向けて通信するというもので,2008年2月末から開始している(関連記事1関連記事2)。帯域幅は20MHz,アンテナ4本を使うMIMO(multiple input,multiple output)伝送で下り250Mビット/秒を超える伝送速度を実現しているという。2010年以降の商用サービス化を目指す。

 また同社ブースでは,LTE向けに低消費電力化したMIMOの信号分離をするLSIも展示した。処理速度は最大200Mビット/秒。消費電力は79.2ミリWで「100ミリWを切れば端末に搭載できるレベル」(説明員)という。

 KDDI研究所は,第4世代移動通信システム(4G)「IMT-Advanced」の要素技術を検証する屋外実験について展示した(写真2)。アンテナ2本を使うMIMO伝送で,周波数帯を100MHz幅とした場合に伝送速度は約750Mビット/秒。移動局を搭載したトラックを時速30kmで移動させた場合でも,最大で240Mビット/秒に達したという。実用化は2010年以降という。

 NECは,WiMAX基地局の設置場所を検討するための電波伝搬シミュレータを展示した(写真3)。「この位置に基地局を新設すると通信可能エリアがどう変化するか」といった内容の分析結果を視覚的に表示する。

 画面はタッチパネルになっており,直感的に扱えるような操作性をめざす。大画面ディスプレイをテーブルのように水平に配置して,複数の人数が同時に検証できるようにした。処理を高速化するために,高い精度が必要な地点は電波の反射を計算して通信速度を割り出し,それ以外の地点では観測点の速度を統計的に推計する。2009年3月以降の実用化を目指す。

 情報通信研究機構(NICT)は,端末が電波の利用環境を認識して,複数の選択肢から最適な通信方式を自動的に選ぶコグニティブ無線について紹介した。W-CDMAとIEEE 802.11aおよび11bから最適な通信経路を自動的に選ぶ端末の試作品を展示していた(写真4)。

 沖電気工業は,ドライバーが運転時に周囲の自動車を検知できるようにすることで,交通事故を防止するDSRC(dedicated short range communication)車々間通信装置を展示した。5.8GHz帯の電波で自動車同士が互いを検知し,ドライバーはカーナビの画面上で周囲の車の存在を確認できる。歩行者が持ち歩くことで,自分の存在を自動車側に伝えることができるDSRC対応携帯端末も展示していた。