NTTは2008年5月13日、新たな中期経営計画「サービス創造グループを目指して」を発表した。同社は2004年末に2010年までの中期経営計画を発表したが、今回の発表はそれを上書きするものだ。NTTの三浦惺代表取締役社長は「基本的な考えは変わっていないが、時代の変化に対応して新しい中期経営計画のようなものをまとめた」と位置付ける。

 今回の発表では、グループ連結売り上げの構成を大きく変える計画が示された。2007年度の連結売上高の構成比率は、音声伝送などの「レガシー系」が48%、データ通信の「IP系」が26%、システム構築や通信外事業などの「ソリューション・新分野」が26%となっている。2010年には、レガシー系32%、IP系36%、ソリューション・新分野を32%とし、IP系とソリューション・新分野を売上高の3分の2にまで引き上げる。さらに2012年には、IP系とソリューション・新分野を売上高の4分の3にするという。

 計画を達成するため、ソリューションの軸となるSaaSの利用に適した光通信サービスと次世代ネットワーク(NGN)を積極拡大する。また、NTTグループ以外がSaaSを提供しやすいように、配信代行、料金回収代行などのサービス・プラットフォーム事業も強化する考えだ。

 こうした業容転換の結果、「NTTグループの事業構造を、(NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、NTTデータの)5社で別々に展望するのは難しくなる。業務フローや人材配置を見直し、場合によってはグループ企業のミッションも見直していく」(三浦社長)と、NTTデータも巻き込んだグループ再編を示唆した。

 新しい中期経営計画を推進するため、NTT持ち株会社内の「中期経営戦略推進室」を「新ビジネス推進室」に変更する。この部門の目的について三浦社長は、「NGNサービスの立ち上げまでは持ち株会社が主導したが、サービスが2008年にスタートしたことで事業推進の主体は事業会社に移った。グループ企業間の調整や、大規模な企業買収や資本提携を担当する部門になる」とした。