NTTは2008年5月13日、2007年度の決算を発表した。連結の売上高は前期比797億円減の10兆6809億円、営業利益は同1976億円増の1兆3046億円で、減収増益である。増益の大部分は、厚生年金の代行返上など特殊要因によるもの。そうした要因を除いた本業のみの営業利益は、前期比377億円増の1兆1447億円となる。

 主要事業会社別では、NTT東日本が売上高2兆27億円(前期比586億円減)、営業利益449億円(同149億円減)と減収減益。FTTH(fiber to the home)をはじめとしたIP系サービスは前期比1032億円の増収と好調だったが、同1270億円減となった音声伝送の減収分を補えなかった。専用線サービスは同108億円の減収、電報などのその他の事業も同239億円減と苦戦が続いた。

 NTT西日本は、売上高が1兆9012億円(前期比502億円減)、営業利益が139億円(同65億円減)と減収減益だった。FTTHなどのIP系サービスとシステム構築などの附帯事業は、それぞれ前期比809億円、同92億の増収と好調だったが、音声伝送や専用線などが同1300億円を超える減収となった。

 NTTコミュニケーションズは売上高1兆1545億円(前期比90億円増)、営業利益1047億円(同273億円増)の増収増益だった。法人向けソリューション事業が前期比270億円増と大幅に伸びたほか、インターネット接続の「OCN」やVPN(仮想閉域網)サービスといったIP系サービスが同144億円増と拡大したことが寄与した。一方、音声伝送は同126億円の減収、専用線やフレーム・リレーは同133億円の減収だった。

 NTTドコモとNTTデータの決算は発表済み(NTTドコモの決算記事NTTデータの決算記事)。NTTドコモは売上高4兆7118億円、営業利益8083億円の減収増益、NTTデータは売上高1兆744億円、営業利益959億円と増収増益だった。

 NTTの2009年3月期業績予想は、売上高10兆7500億円、営業利益1兆1600億円の増収減益を見込んでいる。08年3月期にあった「厚生年金の代行返上による利益」を差し引いた本業のみの営業利益で考えれば、増収増益の計画である。NTTの三浦惺代表取締役社長は「IP系サービス、システム・インテグレーション、携帯電話の端末販売が伸びると見込んでいる」とした。