AppDirector ODS
AppDirector ODS
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 日本ラドウェアは,負荷分散装置「AppDirector」の新モデル「AppDirector ODS」を,2008年6月1日に出荷する。負荷分散ソフトを動作させるプラットフォームとして,同社の最新の共通ハードウエアである「ODS」(OnDemand Switch)を採用して製品ラインの簡素化を図った。AppDirectorの既存機種と併売する。価格は,下位機種「AppDirector ODS1」が265万円(税別)から,上位機種「AppDirector ODS2」が548万円(税別)から。開発会社は,イスラエルのRadware。

 AppDirectorは,サーバー負荷分散装置である。ネットワーク・リクエストを複数のサーバー機へと分散させる。主な用途は,複数のWebサーバー/Webアプリケーション・サーバーへのアクセスを束ねて,WebサイトやWebアプリケーションを高速化する,といった使い方である。なお,同社では,サーバー・スイッチのAppDirectorのほか,SSLアクセラレータの「AppXcel」,XML変換処理の「AppXML」,WAN回線負荷分散の「LinkProof」,IDS/IPSの「DefensePro」といった製品を用意している。

 今回AppDirectorのプラットフォームとして採用したODS(OnDemand Switch)は,同社の最新の共通ハードウエアである。高さ1Uのラックマウント型にサイズを抑えつつ,プロセッサにデュアルコアのAMD Opteron(2.2GHz/2.6GHz)を採用して処理の高速化を図った。処理性能は,1秒あたり10万トランザクションという。スループット(総帯域)は最大4Gビット/秒である。搭載するネットワーク・ポートは,AppDirector ODS1がギガビット・イーサネット×4,AppDirector ODS2が,ギガビット・イーサネット×12に加えてmini-GBIC×4。なお,同社では,ODSに対して,AppDirectorだけでなく,他のアプリケーションも乗せていく。

 プラットフォームにODSを採用することによって実現する最大の特徴は,最大4Gビット/秒までのスループット性能を,既存モデルなどと比較してより安価に実現できる点である。これにより,同一のハードウエアを使いつつ,ライセンス契約の違いだけで,利用可能なスループットの上限を決めるという製品企画が成り立つ。最初から200Mビット/秒までのスループット性能しか持たないハードウエアを別途用意するよりも,最大4Gビット/秒の性能を持つハードウエアを200Mビット/秒の製品に使いまわすほうが,製品ラインの簡素化によるコスト効果が高いというわけだ。

 ユーザー企業からすれば,共通のハードウエアを使いつつライセンス契約だけで利用可能なスループットの上限を変更できるため,最初は安価なライセンス契約でスタートし,スループットの増加に合わせて高価なライセンス契約に変更して性能を向上させるという運用が可能になる。アップグレードにともなう費用は,スループットの異なる製品モデル間の価格差の2割増しである。例えば,仮に300万円のモデル(スループット契約)と400万円のモデルがあったと仮定して,この差額の100万円の2割増しである120万円を支払うことで,400万円のモデルへと移行できる。

 ライセンス契約の違いによるAppDirector ODSの製品モデル数は,下位ハードウエアのODS1の場合で,最大200Mビット/秒の最安価モデルから最大4Gビット/秒のハイエンド・モデルまで全5種類を用意している。それぞれ,「AppDirector 204」(200Mビット/秒),「同504」(500Mビット/秒),「同1004」(1Gビット/秒),「同2004」(2Gビット/秒),「同4004」(4Gビット/秒)---である。一方で,上位ハードウエアのODS2の場合,最大1Gビット/秒の最安価モデルから4Gビット/秒のモデルまで全3種類を用意している。それぞれ,「AppDirector 1016」(1Gビット/秒),「同2016」(2Gビット/秒),「同4016」(4Gビット/秒)---である。