米Qualcommは,同社が主導して開発を進める携帯端末向け放送システムであるMediaFLOと,日本のデジタル放送規格であるISDB-Tの共用受信端末のデモに成功したと発表した(発表資料)。同社のチップセットである「UBM」(Universal Broadcast Modem,MediaFLO,DVB-H,ISDB-Tワンセグなどに対応)を搭載する形態で,MediaFLOに加えて日本のワンセグを受信できる。また,日本のISDB-Tを採用するブラジルのISDB-TBにも対応する。デモの様子は,2008年5月13日~14日にかけてブラジルのサンパウロで開催される「Tela Viva Móvel conference」,同年7月22日~24日に東京で開催される「ExpoComm Japan」において,同社のブースで公開する。

 今回のデモは,ISDB-TあるいはDVB-Hを使って無料テレビ放送を推進する国・地域に対して,MediaFLOによる有料放送を組み合わせたビジネスモデルを提案するという狙いもありそうだ。Neville Meijers氏(senior vice president/general manager of Qualcomm MediaFLO Technologies)は,「アジアにおいてモバイルブロードキャストは多くの端末に採用され成功しているが,モバイルテレビのサービス提供会社の投資に対するリターンは大きくない。人気の無料放送に加えて契約ベースのコンテンツサービスなどの収益を活用できる無料/有料混合型サービスが可能となるマルチモード対応端末のデモは,モバイルテレビ・サービスの収益拡大への明確な道しるべとなる」とコメントしている。