図●「quanp」の操作画面例。オンライン・ストレージ側にアップロードしたファイルをサムネール表示形式で一覧できる
図●「quanp」の操作画面例。オンライン・ストレージ側にアップロードしたファイルをサムネール表示形式で一覧できる
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 リコーは2008年5月12日、オンライン・ストレージ・サービス「quanp(クオンプ)」を同日から正式に開始すると発表した。試用版を3月から提供しており、このたび本格サービスに切り替えた。

 quanpの最大の特徴は、パソコン側にインストールする専用クライアント・ソフトを用意したこと。ドラッグ・アンド・ドロップ操作で複数ファイルのアップロードやダウンロードが実行できる。他のユーザーとファイルを共有する設定も可能。また、指定したフォルダを定期的に監視し、新しいファイルを自動的にオンライン・ストレージ側にアップロードする機能も備える。既存のオンライン・ストレージ・サービスの多くは、操作にWebブラウザを使用する。

 オフライン時の利便性も確保した。オンライン・ストレージ側のデータをパソコン側にキャッシュとして保存する機能を持つ。これにより、キャッシュされているファイルであれば、専用ソフトを立ち上げることで閲覧できるという。

 ユーザー・インタフェースに工夫をし、ファイルの視認性を高めた。アップロードしたファイルのサムネール表示機能や、3次元グラフィックス表示によるファイルの一覧機能を実装した(図)。

 「Webブラウザをインタフェースに使うアプリケーションのメリットが喧伝されているが、quanpでは専用ソフトを使うことのメリットを押し出した」(リコー)。 

 quanpは無料・有料の両方のメニューを用意する。無料の「Trial」の最大ストレージ容量は1GB。月額300円の「Standard」は10GB、月額980円の「Quantum」は100GB。専用ソフトはWindows XP/Vistaのみで動作する。基本的には個人単位での契約を前提にした料金体系だが、法人向けの体系も検討中としている。

 オンライン・ストレージ・サービスはヤフーの「Yahoo!ブリーフケース」やNTTコミュニケーションズの「ShareStage」、NTTビズリンクの「iTrustee(アイトラスティー)」など、いくつか存在する。リコーは「法人分野で培ったブランド力や、自社でデータセンターを運営していることなどを前面に出し、信頼性を重視するユーザーにアピールしたい」としている。「ネット関連サービス市場は、まだ大きな可能性を秘めている。経験はないものの、参入する価値とチャンスは大いにある」(リコー)。