DRBDのアーキテクチャ
DRBDのアーキテクチャ
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サードウェア 代表取締役社長 久保元治氏
サードウェア 代表取締役社長 久保元治氏

 サードウェアは2008年5月9日,オープンソースのディスク・ミラーリング・ツール「DRBD」の日本における正式サポートと教育を開始すると発表した。DRBDを開発,販売しているオーストリアLINBIT Information Technologiesと認定パートナー契約を結んだ。「データを保護し短期間で復旧させることができ,低コストで事業継続計画(BCP)を実現できる」(代表取締役社長 久保元治氏)という。

 DRBDは2台のLinuxサーバー上のハードディスクをリアルタイムに同期させるツールで,Distributed Replicated Block Deviceを意味する。LINBIT Information Technologiesがオープンソース・ソフトウエアとして無償公開しており,同社によれば世界中で約20万セットが利用されているという。また上位製品として,3台のマシンのデータをレプリケートできるDRBD Plusがあり,有償で販売している。またMySQLは「DRBD for MySQL High Availability」としてDRBDをサポートしている。

 サードウェアはすでにLINBITとリセラー契約を結んでおり,DRBDを利用したシステムを,6年以上にわたり30セット以上構築してきた。また,DRBDの日本語情報サイトdrbd.jpを運営している。

 今回認定パートナー契約を結んだことで,サードウェアがLINBITのフロントとして正式に,日本語によるサポートを提供できるようになった。必要に応じてサードウェアがLINBITに問い合わせる。従来はサードウェアがLINBITと別にサポートを行うか,ユーザーがLINBITと契約し英語でオーストリア時間に合わせてサポートを受ける必要があった。サポートは2008年6月より開始する。教育も7月より行う。またクラスタシステム構築サービスも7月より開始する。

 DRBDはLinuxのカーネル・モジュールとして動作する。マスター・サーバーでのディスクへの書き込みの際に,デバイス・ドライバ・レベルでスレーブ・マシンに変更を送信し,反映された時点でマスター・サーバーでの変更をコミットする。これにより2台のサーバーのディスクの内容は常に同一に保たれるという。ただし,2台間のネットワークが途絶した場合などはマスターのみ更新し,ネットワークが復旧したら更新を反映する。

 サードウェアではメール・サーバーなどでDRBDを利用したシステムを構築し顧客に納入している。「メールが止まったら業務が成立しないような業種で利用されている」(久保氏)。

 また海外では8Tバイトのディスクで,遠隔地のデータセンターを結んでデータを複製している例もあるという。「一カ所のデータセンターで障害が発生したら,もう一方でサービスを継続して提供するディザスタリカバリを目的としている」(久保氏)。

 仮想化ソフトと組み合わせた例もある。ドイツのOce Printing Systemsでは,Xenと組み合わせて利用している。障害時に仮想マシンのイメージを別のサーバーに転送してサービスを継続するライブ・マイグレーションが可能という。DRBDはXenのほかVMwareにも対応している。サードウェアでも2008年7月より仮想化システム構築サービスを開始する。

 通常は1台がマスター・サーバー,他がスレーブ・サーバーという組み合わせで利用するが,分散ファイル・システムと組み合わせることでマルチマスター構成も可能としている。分散ファイル・システムとしてはGFSとOCFS2で動作確認済みという。

 価格はDRBD Plusが初年度サポート込み97万円,サポートのブロンズが年間39万円など。