「HD DVDについては、パソコンやテレビ事業の成長加速でカバーする」と話す東芝の西田社長
「HD DVDについては、パソコンやテレビ事業の成長加速でカバーする」と話す東芝の西田社長
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デジタルプロダクツ事業の商品戦略
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パソコン事業の戦略
パソコン事業の戦略
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 東芝は2008年5月8日、経営方針説明会を開催。西田厚聰社長が、2010年度に向けた経営戦略を発表した。パソコン事業に関しては、2007年度の売上高が1兆400億円だったのに対し、2010年度には1兆7000億円まで拡大する計画を明らかにした。新興国を中心にさらなるグローバル展開を図ることにより、売上高の伸長を狙うという。

 東芝の2007年度の売上高は7兆6700億円で、営業利益は2381億円。2010年度には売上高を10兆円に伸ばし、営業利益も5000億円に増やすという。半導体と原子力という主力事業に加え、パソコンやテレビ、ハードディスクなどのデジタルプロダクツ事業を「収益の第3の柱にする」(西田氏)。同事業の2007年度の売り上げは2兆9500億円だったが、2010年度には4兆1000億円に伸ばす計画だ。

 強みとするのは、自社が保有する半導体技術と画像処理技術。これらを核に、パソコンやテレビ、DVDプレーヤーなどの高画質化を図る。同社は2008年2月にHD DVD事業からの撤退を発表したが「事業規模は2000億円ほどで、それほど大した規模ではない」(西田社長)。欧米などでも新世代光ディスクへの移行はいまだ起こっておらず、現行のDVDもしばらく残り続けるだろうと話す。「HD DVD事業の終息を決める1年ほど前から、現行のDVDでもさらに高画質を実現できるシステムLSIを開発していた」(西田氏)ため、こうした技術を生かしてDVD分野でまだまだ利益を上げられるという。

 パソコンについては、2010年度にかけて、年平均成長率で18%の成長を見込む。このところBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとした新興市場でのノートパソコンの伸びが著しいことなどを例に挙げ、製品ラインアップや販売チャネルの拡充により、こうした国々を中心に売上規模を拡大すると説明した。同時に、他社との差別化も図る。「Cell」をベースに開発した動画処理用プロセッサー「SpursEngine」を搭載するAVノートパソコン(2008年中に発売予定)や、SSDや燃料電池搭載のモバイルパソコンを投入する。

 パソコン向けのSSD事業にも力を入れる。SSDを搭載するノートパソコンが「2010年に10%、2011年には25%を占める」(西田氏)との予測に基づき、ノートパソコン市場に焦点を当てて32G~512GBの容量の製品を展開する。将来的には、サーバー市場へのSSDの投入も目指しているという。