Webやマルチメディア資料のアーカイブを運営している非営利団体Internet Archiveは米国時間2008年5月7日,米連邦捜査局(FBI)が同団体に対して情報提供を要請する国家安全保障書簡(National Security Letter:NSL)を撤回したと発表した。Internet Archiveは2007年11月に書簡を受け取っていたが,NSLに伴うかん口令が取り消されたことを受けて今回初めて明らかにした。

 この書簡は,Internet Archiveに特定のアーカイブ・ユーザーの個人名,住所,電子通信記録を含む個人情報の提供を要請するものだった。この要請に対し,電子フロンティア財団(EFF)および全米市民的自由連合(ACLU)が異議を申し立て,FBIが情報提供要請とこの件に関するかん口令を取り下げることで合意に至った。

 Internet Archiveの設立者でありEFFの役員を務めるBrewster Kahle氏は,NSLのかん口令によりこの書簡や法的な問題について弁護士以外と話すことが禁じられていた。Kahle氏は,図書館に対するこのような要求がFBIの権限を越えているとしてFBIに対して一般的に入手可能な情報だけを提供し,NSLについて争うことを決定した説明している。

 EFFによれば,2001年の「愛国者法(Patriot Act)」の可決によってFBIのNSL権限に関する制約が緩和された。それ以来,NSLの発行件数が急増しており,乱用された複数のケースが明らかになっているという。2007年には,NSLの適用範囲の縮小および法に準拠したかん口令の適用を目的として,米上院および下院でNSLの改革案が提出されている。

発表資料(1)][発表資料(2)