総務省は2008年5月2日,770MHz~3.4GHzの電波の利用状況に関する調査結果と,その評価結果案を公表した。技術の進歩に応じて電波を再配分するため,三つの周波数帯を3年ごとに評価しているものである(発表資料)。

 評価結果案では有効利用対策の必要がある用途として,(1)800MHz帯を利用した映像FPU,(2)ラジオマイク,(3)N-STARを利用した衛星移動通信システム,(4)950MHz帯を利用した「音声STL/TTL」が挙げられている。このうち,(1)~(3)については,現行帯域での高密度利用が,(4)については他の周波数帯への移行が必要としている。一方,需要が低下している用途としてパーソナル無線を挙げ,新しく無線従事者の資格が不要な無線システムを確保することを前提に,2022年をメドに廃止することが適当であるとした。

 現在利用されている各システムに対する評価のうち携帯電話に関しては,(1)960MHz以下の周波数を利用する携帯電話は,テレビ放送のデジタル化で空く700MHz帯と900MHz帯を有効活用するため,現在800MHz帯と900MHz帯で使用中のシステムを800MHz帯に移行・集約する必要がある,(2)1.5GHz帯携帯電話については,第3世代移動通信(3G)システムの周波数需要に対処するため,新たに確保された周波数を含め再編の検討が必要である,(3)2GHz帯においてTDD方式を活用する移動通信システムの技術検討を進め,導入を図ることが適当と評価した。

 総務省は今回の評価結果について,2008年5月23日まで意見募集を行う。その後,6月11日に開催予定の電波監理審議会に諮問する予定である。