経営陣を一新し、経営再建を目指しているニイウス コーは4月30日、東京地方裁判所に民事再生手続きを申し立て、受理されたと発表した。午後に大野健社長などが都内で会見に臨み、民事再生の申請と合わせて、過去5年にわたって不適切な取引と会計処理が行われたことを公表。過年度の決算を修正した。過大計上は売上高ベースで682億円に上る。

 ニイウス コーは、過去に不適正な会計処理の可能性があることなどを理由に、2008年6月中間期決算の発表を延期し、社内調査を実施していた。この調査によると、不正取引は、(1)顧客が実在しないとみられる架空の循環取引、(2)リース会社を利用した不適切な循環取引、(3)売上高を先行計上し、その後に失注処理・買い戻しを組み合わせた循環取引、(4)不適切なバーター取引、(5)セール&リースバック取引の不適切な処理--の5パターンがあったとする。金額で見ると、全体の47%を占める(2)と、同38%を占める(3)の手口が目立つ。

 決算修正は2003年6月期から2007年6月期までの5年。額が最も大きい2006年6月期では、売上高772億円のうち3割に当たる236億円強を過大計上していた。当時の末貞郁夫会長が、「ディーラービジネスは終わった」と語り、医療や金融のサービス事業への進出を図った時期である。

 弁護士で取締役を務める井上昌治氏は、循環取引などにかかわった取引先について、「法的な裏付けに基づいた調査までは行っていない」ことを理由に、一切公表しなかった。一方、旧経営陣に対しては、すでに違法配当に対する損害賠償を請求する民事訴訟の手続きに着手したという。「背任などの事実が認められれば、刑事告発も検討する」としている。