写真●米Mozilla FoundationのMitchell Baker会長
写真●米Mozilla FoundationのMitchell Baker会長
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 Web「ブラウジング」や「モバイル」デバイスは,そのものの本質を表す言葉(メタファー)として,間違っているのではないだろうか--。米Mozilla Foundationの会長であるMitchell Baker氏は4月24日(米国時間),サンフランシスコで開催中の「Web 2.0 Expo」の基調講演で,このような問いかけをした。

 Baker氏が「ブラウジング」という言葉に異議を唱えたのは,われわれが今,Webブラウザを使って行っている行為が,もはや「ブラウズ(閲覧)」という意味の枠を越えているからだ。Baker氏は聴衆に対して,「私たちはWebブラウザを使って,(情報や機能に)アクセスし,ミックスし,マッシュし,セーブし,ストアしている。これらは今後,デスクトップやラップトップ,電話といったデバイスを問わず,家庭や電車と言った場所を問わずに,行われなければならない」と訴える。

 そのためにMozillaが現在取り組んでいるのが,「モバイルWeb」の実現だという。「モバイルWeb」を実現するためには,1つのコンテンツがあらゆるデバイスから利用できる状態になっていなければならない,とBaker氏は主張する。「(Mozillaが開発する)Firefoxは,これまでパソコンを念頭に開発されてきたが,(2008年内にリリースされる予定の)バージョン3は,あらゆるデバイスを念頭に開発が進んでいる」(Baker氏)。Firefoxがモバイル・デバイスに対応することで,あらゆるデバイスから同じコンテンツを利用できるようになると,Baker氏は主張するのだ。

 もっともBaker氏は「モバイル」という言葉もおかしい,と指摘する。「モバイル・デバイスといっても,デバイスが私から離れて勝手に動くわけではない」(Baker氏)。何より重要なのは,ユーザーが移動している時でも,自宅や職場でパソコンを使っているときと同じように,「私の元に情報が集まる」(Baker氏)ということであり,それが「モバイルWeb」の本質なのだとBaker氏は主張した。