新社長に就く遠藤氏
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新宅社長は会長に退く
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日本オラクルの業績と従業員数の推移
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 日本オラクルは2008年4月24日、元日本IBM常務執行役員の遠藤隆雄氏(54)が社長に就任する人事を発表した。新年度が始まる6月1日付で社長・執行役員・最高経営責任者に就く。8月下旬の株主総会で取締役にも就任する予定。現社長の新宅正明氏(53)は代表権を持つ会長として、新体制を支える。新宅氏は社長就任から8年目。就任直後の苦境を脱し、2008年5月期は売上高1183億円、経常利益395億円を達成する見通し。実現すればいずれも3期連続で過去最高を記録するのを花道に、後進に経営を委ねることにした。

 遠藤氏は日本IBMに1977年4月、新宅氏より1年早く日本IBMに入社。主に製造業向けの営業畑を歩いていてきた。IBMの出世の登竜門である社長補佐も92年に経験。01年に取締役、04年に常務執行役員に就任。戦略領域のBPO事業などを統括。昨年8月に日本IBMを退社したあと、すぐに日本オラクル入りもささやかれたが、約1年間の“休養”をとっていた。IBMの転職制限規定に抵触するのを回避するためとみられる。

 満を持して登板する新社長の遠藤氏だが、さっそく難しい舵取りが要求される。同社のソフト新規売上高の8割以上を占めるデータベース(DB)ソフト関連(「データベース・テクノロジー」)は成長率が鈍化傾向。日本全体のシステム投資動向に需要が大きく左右されることもあり、今後は逆風が強まる可能性が大きい。

 今後の成長分野として期待する業務ソフト(「ビジネス・アプリケーションズ」)も順風満帆とまでは言えない。米国本社が買収した旧ピープルソフトや旧シーベル・システムズ製品の取り扱いを本格的に開始したこともあり、08年5月期の第1~3四半期(07年6月~08年2月)の売上高は前年同期より37.8%も伸びた。だが絶対額はわずか39億7400万円で、同時期のデータベース・テクノロジーの7分の1にすぎない。

 仮にビジネス・アプリケーションズが今期の目標である売上高100億円を達成したとしても、その規模はデータベース・テクノロジーの見通し447億円には遠く及ばない。しかも目標達成には第4四半期(08年3~5月)だけで、60億円以上を売り上げなければならない。ちなみに日本オラクルのビジネス・アプリケーションズの売り上げの最高記録は03年5月期の59億3600万円。SAPジャパンの2007年12月期のソフト売上高(関連サービスを含む)は約550億円(340万ユーロ)である。

 日本オラクルの売り上げの4割強は保守サポートから上がる。だが新規のソフト売り上げが増えないと、将来のサポート収入も増えない。昨年11月から日本のソフト・ライセンス・ビジネス全般を統括する、米本社のディック・ウォルベン上級副社長(ジャパンライセンス事業担当)との二人三脚に注目が集まる。