写真1●奥行きが19インチのサーバー本体を側面から格納する「iDataPlex」
写真1●奥行きが19インチのサーバー本体を側面から格納する「iDataPlex」
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●面積の広いラック側面に冷却ファンが集中する。この側面には水冷式の冷却装置(写真右側の扉のような装置。銀色のパイプを水が流れる)を取り付け可能
写真2●面積の広いラック側面に冷却ファンが集中する。この側面には水冷式の冷却装置(写真右側の扉のような装置。銀色のパイプを水が流れる)を取り付け可能
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●サーバー本体の厚さは1Uで,プロセッサやハードディスクが実装されている
写真3●サーバー本体の厚さは1Uで,プロセッサやハードディスクが実装されている
[画像のクリックで拡大表示]
写真4●2台のサーバー本体で,1個の電源と4個の冷却ファンを共有する
写真4●2台のサーバー本体で,1個の電源と4個の冷却ファンを共有する
[画像のクリックで拡大表示]

 米IBMは米国時間2008年4月23日,実装密度を従来よりも2倍に高めたラックマウント・サーバー・システム「iDataPlex」を発表した。設置面積は従来の19インチ・ラックと同じだが,小型のサーバー本体をラック側面から格納することで,実装密度を高めると共に,冷却効率を上げているという。2008年6月から米国で出荷を開始する。

 今回IBMが発表したiDataPlexでは,サーバー本体の奥行きは従来の19インチ・ラックの幅と同じで,幅が従来の19インチ・ラックの奥行きの2分の1である。これをラックの側面から2列で格納すると,従来のラックと比べて実装密度が2倍になる(写真1)。搭載するプロセッサはIA(x86)プロセッサである。

 「従来よりも半分のサイズであるラックマウント・サーバー」自体は,既にいくつか製品化されている(これらは「ハーフ・サイズ」などと呼ばれる)。しかしそれらの多くは,ラックの前面と背面からサーバー本体を格納する。このようなハーフ・サイズのサーバー本体をラックに格納すると,サーバー本体の熱を排出する冷却ファンの位置が,ラック中心部に集中してしまい,廃熱がこもりがちになる。

 IBMのiDataPlexでは,サーバー本体の冷却ファンは,面積の広いラック側面に配置される(写真2)。そのため「従来のラックマウント・サーバーと比べて,廃熱効率を大幅に効率化できる」(IBMのModular Systems Development部門のChief Technology OfficerであるGregory J. McKnight氏)。しかもラック側面には水冷式の冷却装置も取り付け可能である。

 サーバー本体の厚さは1Uで,電源装置や冷却ファンは搭載されていない。2台のサーバーで1個の電源装置と4個の大型の冷却ファンを共有する仕組みである(写真3,写真4)。同社のMcKnight氏は「より大型の電源装置と冷却ファンを使用することで,電源効率や冷却効率が上がる仕組みだ」と説明している。

 また,McKnight氏は「サーバー冷却効率の向上によって,システム全体の電気使用量を最大40%削減できる」と語る。iDataPlexは主に,数万台ものサーバーを使用して巨大なデータを扱う「Web 2.0スタイル」の企業向けに販売する予定で,既に米国のほか,日本,ドイツ,中国,英国などの企業が採用を予定しているとしている。同日のプレスリリースでは,米Yahoo!や米国のTexas Tech Universityが採用すると明らかにしている。