左から、ディー・エヌ・エー 取締役・総合企画部長 春田真氏、ネットスター 広報部長 高橋大洋氏、マイクロソフト 技術統括室・CTO補佐 楠正憲氏、ヤフー 法務部長 別所直哉氏、楽天 執行役員 渉外室長 関聡司氏、社団法人全国高等学校PTA連合会 理事・会長 高橋正夫氏
左から、ディー・エヌ・エー 取締役・総合企画部長 春田真氏、ネットスター 広報部長 高橋大洋氏、マイクロソフト 技術統括室・CTO補佐 楠正憲氏、ヤフー 法務部長 別所直哉氏、楽天 執行役員 渉外室長 関聡司氏、社団法人全国高等学校PTA連合会 理事・会長 高橋正夫氏
[画像のクリックで拡大表示]

 ヤフー、マイクロソフト、ディー・エヌ・エー、楽天、ネットスター(東京都渋谷区)の5社は2008年4月23日、東京都内で記者発表会を開き、自民党、民主党がそれぞれ作成を進めている青少年インターネット規制法案に対する反対意見を表明し、青少年保護のための今後の取り組みを説明した。ネットにおける有害情報からの青少年保護については、これまで民間が対策を進めてきたにもかかわらず、早急に法案を通すのは事業者規制となり、IT産業の衰退につながるとしている。

 青少年インターネット規制法案は自民党と民主党それぞれが作成を進めている法案。両党が定義するネット上の「有害情報」を見られないよう、18歳未満の子供に対して接続を制限することをWebサイト管理者やインターネット・サービス・プロバイダーに義務付ける。有害情報として定義されているのは暴力的なコンテンツ、出会い系のコンテンツなど約5種類。

 発表会ではまず、ヤフー法務部長の別所直哉氏が、法案について3つの問題点を挙げた。1つ目に「保護者からの意見聴取が後回しにされ、十分反映されていない」、2つ目に「何が有害な情報かは各人の価値観で判断されるべきであり、有害情報の削除を義務づけることは『表現の自由』の明確な規制である」、最後に「特定の問題を解決するためだけに、十分な調査を行わず法による規制を課すことは、関連事業者を圧迫し、IT産業の衰退につながる」を挙げた。

 そして、「法による規制は、民間や教育機関ができる限りの取り組みを行い、その成果を十分に効果検証した上で、最後に施行されるべき」(別所氏)と訴え、「まずは、民間が行っている取り組みに目を向け、後押ししていただきたい」と、要望を述べた。

 次に各社それぞれが、保護者や学校関係者と共同で取り組む内容について説明した。まず、保護者が子供に対してネット利用に関する教育ができるよう、保護者の視点に立って教材を制作し、提供する。また、企業から講師を派遣して、子供を取り巻くネット事情や利用法を啓蒙(けいもう)する保護者向けの勉強会も実施する。保護者のネット利用に関する知識を挙げ、子供に指導しやすくする。

 発表会では各社、現在の青少年対策についても説明した。ディー・エヌ・エーはケータイサイト「モバゲータウン」で、「システムにより有害コンテンツやグレーなコンテンツを抽出し、東京と新潟にある計450人体制のカスタマーサポートで全件目視による確認をする」ことや、「青少年のリアルな生活での悩み相談などの問い合わせに、専門家が応じる専用窓口『モバゲー110番』を開設している」(ディー・エヌ・エー取締役・総合企画部長の春田真氏)ことを説明した。

 フィルタリングサービスを提供するネットスターでは「この2年間はインターネット協会が主催するセミナーに講師を派遣する、教材を制作するなどの取り組みを行ってきた」(ネットスター広報部長の高橋大洋氏)という。マイクロソフトは、「Windows Vistaではフィルタリングシステムを導入し、インターネットの時間制限や、子供のメールのやりとりを管理できるようした」(マイクロソフト技術統括室・CTO補佐 楠正憲氏)と説明。

 ヤフーの別所氏は「『Yahoo! きっず』は広告掲載の基準を厳しくし、子供から個人情報を吸い上げるようなアンケート形式の広告などは掲載を禁止している」ことや、「有害サイトをフィルタリングできる無料のサービス『ヤフーあんしんねっと』を提供している」ことを説明した。楽天では「コミュニケーションサービスをパトロールし、規約違反の書き込みなどは削除している」(楽天執行役員渉外室長の関聡司氏)という。