写真1:説明会にはネット関連5社と,高校PTA連合会の代表者が列席した
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写真2:「当事者が外された場所で議論が進んでいる」と語る高校PTA連合会の高橋理事
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 ディー・エヌ・エーとネットスター,マイクロソフト,ヤフー,楽天のインターネット関連事業者5社は2008年4月23日,自民党が今国会への提出を目指している「青少年インターネット規制法案」に反対する声明を発表した。声明では,「保護者や守られるべき子供が望まない方法で,かつ効果が期待できない方法を国が一方的に押し進めることは誰にとってもメリットはない」とした(発表資料)。また,5社は自民党政務調査会の谷垣禎一会長あてに,4月22日付で意見をまとめた文書を提出したことを明らかにした。

 自民党が準備している法案ではWebサイトに有害情報が掲載された場合,サイト管理者にはその情報を削除するか,サイトを会員制に移行することが求められ,インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に対しては,サービスの停止が求められる内容となっている。携帯電話事業者各社には,フィルタリングサービスの提供義務が課せられる。

 5社は子供が安心してインターネットを利用できる環境を整備するという目的に異論はないとしながらも,自民党案の問題点として,(1)実効性に乏しく,子供の教育に関する保護者の決定権を奪う,(2)何が有害情報かという価値観は人によって異なり,表現の自由の明確な規制に当たる,(3)特定の問題を解決するために全体に規制をかける結果,産業競争力が失われる──という3点を挙げ,自民党案に反対の立場を表明した。そのうえで,「法規制は最後の手段であって,まず政府は民間で行われている様々な取り組みを評価し,後押ししてほしい」(別所直哉・ヤフー法務部長)と意見を述べた。

 会見には全国高等学校PTA連合会の高橋正夫理事も列席し,「有害情報の規制については,当事者であるはずの子供と親を外して話が進んでいる印象を受ける。小学生と高校生では携帯電話の使い方も異なるはずで,一律に同じ規制をかけるのは実情に合わないのではないか。積極的に社会に発信し,情報を得ようとしている子供にまでフィルタリングサービスで制限する権利があるのかどうか,自己申告制にするなどの選択肢もあるはず」と,議論の進め方に疑問を呈した。