写真●弥生の岡本浩一郎代表取締役社長
写真●弥生の岡本浩一郎代表取締役社長
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 「導入や運用の容易さを考えると、当社製品を利用する中小企業にとってSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)のメリットは非常に大きい。今後はSaaSを事業の柱に据える」。中小企業向け業務パッケージ・ソフト「弥生」シリーズを開発・販売する弥生の岡本浩一郎代表取締役社長は2008年4月22日、記者説明会でこう語った。岡本氏は4月1日付で同社社長に就任した。

 岡本社長によると、弥生は今後3年で段階的にSaaSへの対応を進めていく。1年目は、経済産業省が進めているSaaS基盤プロジェクトに参画し、既存のアプリケーションの一部をSaaS対応にする。このプロジェクトは、20人以下の小規模企業向けに財務会計から税務申告までを一貫して処理できるSaaS形式のサービスを提供するというものだ。

 2年目には新規のSaaSアプリケーションの提供を開始する。「まずはシンプルな機能に留める。小さく生んで大きく育てたい」(岡本社長)。3年目からは「パッケージ・ソフトと同じ機能を持つSaaSアプリケーションを順次提供していきたい。特に会計パッケージのSaaS化を最優先する」(同)。

 SaaSで狙う市場について、岡本社長は「パッケージで狙ってきた市場をカバーしたうえで、立ち上げたばかりの企業や個人事業主など、より小規模な事業者もターゲットにしたい。必要に応じて機能を絞るなど、顧客に合った機能を提供するつもりだ」と話す。

 岡本新社長は現在39歳。東京大学工学部卒業後、1991年に野村総合研究所へ入社。メインフレーム系SEや、Windowsベースの基幹システム開発のプロジェクト・マネジャを経験する。その後ボストンコンサルティンググループを経て2000年、経営コンサルティング会社のリアルソリューションズを設立。リアルソリューションズでは起業時より「弥生会計」など弥生製品を使用していたという。