写真●ヒューレット・パッカードの「グローバル・デリバリー・フィリピン・センター(GDPC)」のエマニュエル・メンドーサ ディレクター
写真●ヒューレット・パッカードの「グローバル・デリバリー・フィリピン・センター(GDPC)」のエマニュエル・メンドーサ ディレクター
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 「日本では、あまり知られていないかもしれないが、欧米やアジアのグローバルカンパニーでは、フィリピンのITサービス拠点を活用する企業が増えている」。ヒューレット・パッカードがフィリピン・マニラに構える「グローバル・デリバリー・フィリピン・センター(GDPC)」でディレクターを務めるエマニュエル・メンドーサ氏は、こう強調する。

 フィリピンは人口9000万人弱に過ぎないが、英語ができる技術者が多いのを強みに、米国向けのシステム開発ではインド、中国に次ぐ3番目の実績を誇る。技術者の人月単価は、プログラマで20万~35万円程度。インドより10万円程度割安だ。メンドーサ氏は、「GDPCに勤める技術者の平均年齢は26.5歳だ」と説明。若手が多く活気がある点を訴える。

 HPのGDPCでは、主に3種類のITサービスを提供している。アプリケーションの開発・保守、インフラ管理・運用、コールセンターだ。アプリケーションは独SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ導入、製造・流通業向けのシステム開発・保守の実績が豊富という。GDPCが抱える顧客数は、「欧米やアジアのグローバル企業を中心に70社強」(メンドーサ氏)。

 ただし、70数社の顧客企業のうち、日本企業は「数社」(同)にとどまる。「HPは世界共通のカリキュラムに従って、フィリピンでも技術者を教育している。提供するサービスレベルも世界で均一だ。インドや中国などの拠点と協力しながら、日本企業のニーズに合うサービスを提供できる」(同)。

 フィリピンのソフトウエア産業の輸出額は2006年度で313億円とインドの1.5%。開発技術者数は約8万人で、ソフト開発企業数は400社弱と言われている。