写真1●米MicrosoftのJim DuBois氏
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写真2●米Microsoft社内におけるITコストの内訳
写真2●米Microsoft社内におけるITコストの内訳
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 「この3年間で社内のIT維持・管理コストを1億ドル削減し,新規プログラムへの投資比率を大きく拡大させた」──。米Microsoftの社内IT部門でアプリケーションの管理や基盤サービス提供の責任者を務めるJim DuBois氏(General Manager,Information Technology Group)がこのほど来日,Microsoftの社内情報システムの概要を語った(写真1)。

 Microsoftの年間IT予算は,売上高の約2.3%。約5000人を擁するIT部門が,ユーザー14万人,サーバー1万台という巨大なシステムの開発・運用を担う。業務アプリケーションは2300種類が稼働するが,「あまり誇ることのできない数字。ワールドワイドで重複したアプリケーションを削減するなど,業務アプリケーションのポートフォリオを今後簡素化していく必要がある」(DuBois氏)。

 DuBois氏は投資目的別のITコストの内訳を明らかにし,維持・管理コストの削減と,新規プログラムへの投資拡大に取り組んでいる状況を説明した。維持・管理コストをこの3年間で1億ドル削減することで,40%を下回っていた新規プログラムへの投資比率を52%に拡大したという(写真2)。「今後は,新規プログラムの投資比率を60%まで高める」(DuBois氏)狙いだ。

 維持・管理コストの削減には,(1)三つのデータセンターの運用の作業を1カ所に統合し,管理作業を標準化,(2)仮想化機能を使ったサーバーの統合,(3)スクリプトを活用した管理作業の自動化──の三つが大きく寄与したと説明した。

 最新サーバー・ソフトであるWindows Server 2008については「独SAPのERP(統合基幹業務システム)による基幹システムなど,主要な業務システムを既にWindows Server 2008に移行済み。今後1年間をめどに,社内のサーバーすべてがWindows Server 2008に切り替わる」と社内でも導入が急ピッチで進んでいることを強調。「Windows Server 2008で最も気に入っている新機能は,仮想化だ。社内のハードウエアやデータセンター,電力コストについて,年間4000万ドルのコスト削減が可能になる」と,仮想化機能「Hyper-V」のメリットをアピールした。必要な機能だけを使うことで管理性を高めるServer Coreや,Windows Server 2003に比べて設定が容易になったクラスタ機能も「気に入っている機能」(DuBois氏)という。

 一方,ネットワーク検疫機能の「Network Access Protection(NAP)」については,「機能は非常に気に入っている。しかし,まだ複雑で難しいところがある。複雑さについては顧客にも正しく伝えていく必要がある。次のバージョンでは,もっと容易に使えるようになるだろう」と説明した。

 またDuBois氏は,Windowsの次期版「Windows 7(開発コード)」の社内テストを今年6月に開始することも明らかにした。