GeForce 8200を搭載した、ECSの「GF8200A」。予想実勢価格は1万3000円。
GeForce 8200を搭載した、ECSの「GF8200A」。予想実勢価格は1万3000円。
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GF8200AのBIOS設定画面。「Hybrid SLI support」の項目があり、有効と無効を切り替えられる。
GF8200AのBIOS設定画面。「Hybrid SLI support」の項目があり、有効と無効を切り替えられる。
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「3DMark06」の総合スコアの結果。GeForce 8200はAMD 780Gの8~9割の性能だった。
「3DMark06」の総合スコアの結果。GeForce 8200はAMD 780Gの8~9割の性能だった。
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3DMark06における個別のスコア。シェーダーモデル3.0の機能を使った「HDR/SM3.0」のスコアが低めだ。
3DMark06における個別のスコア。シェーダーモデル3.0の機能を使った「HDR/SM3.0」のスコアが低めだ。
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システム全体の消費電力。「負荷時」は「PCMark05」の「Multithreaded Test 2」を実行したときの値。AMD 780G搭載マザーボードとほとんど差がない。
システム全体の消費電力。「負荷時」は「PCMark05」の「Multithreaded Test 2」を実行したときの値。AMD 780G搭載マザーボードとほとんど差がない。
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 2008年4月、自作PC向けのパーツショップで、NVIDIAの新型チップセット「GeForce 8200」を搭載したマザーボードが発売された。GeForce 8200は、AMD製CPU向けのチップセットでDirectX 10に対応したグラフィックス機能を内蔵している。日経WinPC編集部は、GeForce 8200を搭載したECS製のマザーボード「GF8200A (V1.0)」を入手、そのグラフィックス描画性能をテストした。

 GeForce 8200の大きな特徴として、「Hybrid SLI」への対応がある。Hybrid SLIは、3D画像描画性能を高める「GeForce Boost」と、省電力機能の「HybridPower」から成るNVIDIAの独自技術。GeForce BoostではGeForce 8500 GTや同8400 GSといった低価格機向けのグラフィックスボードと、チップセット内蔵のグラフィックス機能を連携させて描画性能を高められる。HybridPowerは、GeForce 9800 GX2や同9800 GTXのような高性能ボードの利用時に有効になる機能で、性能が必要なときはボードのチップで描画し、それほど必要ではないときはボードの電源を切って内蔵グラフィックスで描画するように手動で切り替えて消費電力を抑えられる。

 GF8200A (V1.0)のBIOS設定画面にもHybrid SLI関連の項目があるのだが、4月中旬時点では対応ドライバーが公開されておらず、利用できないようだ。そこで今回はごく簡単なグラフィックス関連のベンチマークテストと消費電力の測定にとどめた。比較したのは、AMDプラットフォームで人気の高い、AMD 780Gチップセット搭載マザーボード。AMD 780Gのグラフィックス機能は、従来のチップセット内蔵機能に比べて描画性能がずば抜けて高い。GeForce 8200がどれくらい迫るか、あるいは追い越すのかが興味深い。

 テスト環境は以下の通りだ。

【CPU】Phenom 9600(2.3GHz)
【マザーボード】GF8200A (V1.0)(ECS、GeForce 8200搭載)、JW-RS780UVD-AM2+(J&W Technology、AMD 780G搭載、比較用)
【メモリー】DDR2-800 1GB×2(JEDEC準拠)
【HDD】Deskstar P7K500 500GB(日立グローバルストレージテクノロジーズ)
【デバイスドライバー】グラフィックスドライバーのバージョンは、GeForce 8200が171.20、AMD 780GはCatalyst 8.3
【OS】Windows Vista Ultimate Service Pack 1 32ビット日本語版

 GeForce 8200のデバイスドライバーは、製品に同こんされていたバージョンを使用した。完全な対応版ではない可能性があるため、今後のドライバーのバージョンアップによっては性能が変わるかもしれない。比較として用意したJ&W製のマザーボードは、内蔵グラフィックス専用の64MBメモリーを搭載しており、メインメモリーと両方使うことで描画性能が1割ほど向上する。今回は、AMD 780G搭載マザーボードの一般的な構成と比較したかったため、専用メモリーを使わない設定(BIOSでUMAを指定)でテストした。主なBIOSの設定は基本的に標準のままにしてある。

 グラフ1はFuturemarkのベンチマークソフト「3DMark06」の結果だ。グラフはAMD 780Gの結果を100%とした相対値で表している。かっこ内は 3DMark06の総合スコア(3DMark Score)だ。「標準」は、1280×1024ドットの標準設定で実行した結果。「高負荷」は、解像度はそのままに、「アンチエイリアシングx4」「異方性フィルタリングx8」を設定した状態だ。GeForce 8200は、AMD 780Gのおよそ8~9割の性能にとどまっている。

 グラフ2は、3DMark06の総合スコアを構成している個別のテスト結果をまとめたものだ。掲載していない「CPU Score」は、AMD 780GとGeForce 8200の両環境で1%ほどしか違わなかった。比較的描画負荷の低い標準状態では、特にHDR/SM3.0のスコアが落ち込んでいる。負荷が高いと、SM2.0は同レベルになるものの、HDR/SM3.0のテストではやはり3割ほど差が開いたままだ。このほか、DirectX 10対応のアクションゲーム「クライシス日本語版」でもベンチマークを実行した(1280×1024ドット、画質はすべて「中」)。AMD 780Gが6.22fpsだったのに対し、GeForce 8200は5.21fpsで2割低い。

 システム全体の消費電力を調べた結果がグラフ3だ。アイドル時と「PCMark05」で4スレッドを同時に実行する「Multithreaded Test 2」を実行して負荷をかけた状態の値だ。見ての通り、アイドル時も負荷時も消費電力はほぼ同じになっている。

 先に述べた通り、4月中旬現在で提供されているドライバーは、GeForce 8200の機能をフルに生かせるものだとは言い難い。今回のテストはあくまでも「速報版」としてとらえていただきたい。動画再生支援機能についても評価しようとしたのだが、HDMIでディスプレイに接続したときに動画の画面が乱れる現象が起こった。NVIDIAのWebサイトで提供されている最新版のドライバーを試しても状況は変わらなかった。Hybrid SLIも利用できるドライバーにより、画面の乱れや3D描画性能が改善されることを期待したい。