ad:tech会長のDrew Ianni氏は、今回のad:techの参加者が前年比31%増の1万4000人に達したことを明かした
ad:tech会長のDrew Ianni氏は、今回のad:techの参加者が前年比31%増の1万4000人に達したことを明かした
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基調講演をするKodakの最高マーケティング責任者(CMO)のJeffrey Hayzlett氏
基調講演をするKodakの最高マーケティング責任者(CMO)のJeffrey Hayzlett氏
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Kodakの写真共有のSNS「Kodak Gallery」
Kodakの写真共有のSNS「Kodak Gallery」
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 デジタルマーケティングに関する最大規模の専門イベント「ad:tech」が2008年4月15日(米国時間)、サンフランシスコで始まった。ad:techは米国中心に世界各地で開催されているが、米国では今回が2008年最初(2007年New York速報記事)。今回のテーマは「ブランド戦略と広がりつつあるデジタルマーケティング」。過去に「エンゲージメント」や「詳細なデータ取得が可能」など、マスメディアに対抗するようなテーマを掲げることが多かったad:techだが、すべてのメディアがデジタル化する現在においては、ネットが特別ではなく、すべてのメディアでデジタルマーケティングを展開し、ブランディングを行わなければならない段階に来ているということだろう。

 サブプライムローン問題で景気後退の傾向がみられる米国で、広告費の減少も予想されている。だが、キーノート講演者を紹介するad:tech会長のDrew Ianni氏はマス広告の削減はある可能性はあるものの、効果が数字で示せるネット広告は予算を守るか、伸びるだろう、と強気の予想を示した。同時に、今回のad:techの事前登録者数が、一年前の参加者数1万700人を大きく超え、1万4000人であることを発表した。景気後退の時期にもかかわらず、ネット広告への期待がさらに高まっている証であるとしている。

「あなたの父親のKodakではない」、Kodak 2.0を作る試み

 デジタルマーケティングとブランディングをテーマにしたイベントで、キーノート講演を飾ったのは、Kodakの最高マーケティング責任者(CMO)Jeffrey Hayzlett氏だ。Kodak は、1888年にGeorge Eastman氏によって設立され、初めてプロ向けでなく一般の人向けにカメラを作った会社。一般にはフィルムの会社として知られているが、デジタルカメラが主流の今、フィルムから売り上げが上がらない同社がどういう状況であったかは容易に想像がつくだろう。「1970年代にデジタルカメラを初めて開発したが売れるとは考えていなかったし、それまでのビジネスをつぶすわけにはいかなかった」と語り、他社に後れを取っていたことを素直に認めた。

 米国では何かが変わってしまったことを「This is not your father’s Kodak(あなたの父親のKodakではない)」と表現することがあるが、彼が過去数年でやってきたことはまさに、今までのKodakというブランドを刷新し、Kodak 2.0を作ることだった。