NECとNECパーソナルプロダクツは2008年4月15日、新コンセプトのパソコン「Lui」を発表した。同シリーズは、ホームサーバー「Lui SX」(写真1)、Lui SXに外部からアクセスするための専用クライアント端末「Lui RN」(写真2)、「Lui RP」(写真3)の3製品から成る。
発売日は4月24日。価格はオープン。NECの直販サイトでの価格は、ホームサーバーのLui SXが32万9910円から。Lui RNが8万9880円、Lui RPが4万9980円。
ホームサーバーLui SXは、HDDレコーダーとWindowsパソコンを合体させた製品。両機能が独立して動く。HDDレコーダーとしては、ハイビジョン放送2番組の同時録画、同時視聴が可能。専用の監視マイコンを使ってHDDを常時監視することで、長時間の安定稼働を実現したという。
Lui SXとDLNA対応のパソコンを家庭内LANに接続すると、パソコンからLAN経由で予約録画の設定をしたり、Lui SXに録画したテレビ番組をパソコンで視聴したりできる。Lui SXを、HDMI端子を備えたテレビと接続して、一般的なHDDレコーダーとして使用することもできる。
一方のパソコン機能は、専用クライアント端末Lui RNやLui RPを使って、ネットワーク経由で使うことを想定したもの。Lui SXをパソコンとして単独で使うこともできるが、こうした使い方はあまり意識していない。
クライアント端末Lui RNやLui RPは、ホームサーバーLui SXの“化身”として動く。具体的には、クライアント端末は入力装置と画面表示装置としての機能だけを果たす。クライアント端末を操作すると、その操作情報(入力したキー情報)はインターネット経由でホームサーバーに送られる。各種アプリケーションはホームサーバー上で動き、ホームサーバー自身の画面情報は圧縮してクライアント端末に送られる。いわゆるリモートデスクトップのような仕組みだ。
こういった仕組みのため、外出先でクライアント端末を使っても、自宅でホームサーバーを使うのと遜色ないレベルで処理を進められる。これがLuiの大きな一つの利点だ。
このように、クライアント端末はホームサーバーを操作する端末に過ぎない。このため、クライアント端末にハードディスクは搭載しない。その分、きょう体を小型、軽量、堅牢にできたという。
Luiシリーズの主な製品仕様は次の通り。
ホームサーバーLui SXは、仕様の異なる2モデルを用意する。上位モデルの「SX700/1G」は、HDDレコーダーの録画用のハードディスクが1TB、Blu-ray Discドライブを搭載して、直販価格が37万9890円。下位モデルの「SX500/1G」は、録画用のハードディスクが500GB、DVDスーパーマルチを搭載して同32万9910円。パソコン機能の仕様は同じで、CPUがCore 2 Duo T7200(2GHz)、メモリーが2GB、HDDが320GB、OSがWindows Vista Home Premium Service Pack 1。
クライアント端末のLui RNはノート型の製品。10.6型横長液晶(解像度は1280×768ドット)、IEEE802.11b/gの無線LAN機能とLAN端子、2つのUSBポートなどを搭載し、重さは649g。バッテリー駆動時間は最大約4.6時間。
ポケット型のクライアント端末Lui RPは、4.1型横長液晶(解像度は800×480ドット)、スライド式のキーボード、IEEE802.11b/gの無線LAN機能とUSB端子などを搭載し、重さは約249g。バッテリー駆動時間は最大約5.4時間。
マウス、KOJIROがLui対応パソコンを発売の見込み
NECはLuiのコンセプトを他のモデルにも広げていく計画だ。第1段として「VALUESTAR R Luiモデル」を2008年4月24日に発売する。ホームサーバーLui SXが内蔵している「PCリモーターサーバーボード」を搭載し、Luiのクライアント端末からVALUESTAR Rのパソコン機能を使用できるようにした製品である。
NECは他社にも「PCリモーターサーバーボード」をOEM供給する。今後は、他社からもLui対応パソコンが発売される見込みだ。実際、発表会会場では、マウスコンピュータとKOJIROがLuiに対応したタワー型デスクトップパソコンを参考展示した。マウスコンピューターは2008年6月の発売を見込んでいるという。