米ガートナーのトム・オースティンVP兼フェロー
米ガートナーのトム・オースティンVP兼フェロー
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 「クラウド・コンピューティングは、今後数年間で最も大きな変革になる」。米ガートナーで企業内個人の生産性向上などの研究を進めるトム・オースティンVP兼フェローはこう語る。そのうえで同氏は「2010年までに米マイクロソフトはオフィス製品の全機能をオンラインで提供するようになり、2012年までに20%の企業はメール・サーバーの運営を外部企業に委託するようになる」と予想する。

 クラウド・コンピューティングは、グリッド・コンピューティングやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を包含した概念として語られる。しかし、オースティン氏はそれらの個別の技術コンセプトを単に集合した言葉ではないと主張する。「個別の技術コンセプトだけを追っていても、木を見て森を見ていないことになり、時代の変革を見誤る。今、各ベンダーのサービスは相互に関係し合いつつあるので、その全体的な潮流をクラウド・コンピューティングとしてとらえるべきだ」(同氏)。

 同氏は企業システムの担当者に向け、「信頼性の確保など、まだ未成熟な部分はある」としたものの、「1社の運用ではなかなか実現できない、高い処理能力や記憶容量を利用できる。競合他社に先駆けていち早く適用するだけのメリットはあるはずだ」と語った。